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「配属ガチャ」を嘆く人と異動できる人の決定的差 米任天堂元社長の「チャンスを広げる働き方」

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 10時0分

料理を作るシェフだけが偉いのではなく、料理をテーブルまで運ぶ人、丁寧にお皿を洗う人などなど、それぞれに立派な役割がある。同様に、クレームに対応して社内の間違いを正すことも当社に欠かせない立派な仕事であると理解したうえで、オーナーシップをもって全力で取り組んでほしいと思っています。

というのも僕自身、起業前に勤めていた会社で任されていた作業に全力投球した経験があるからです。それは傍から見れば本当に些末な雑務だったと思いますが、つねに十二分の出来になるよう、いろいろと工夫を凝らした。「しょせんは上司から与えられた雑務」と割り切って流れ作業でこなすのではなく、オーナーシップをもって取り組んだことが確実にチャンスにつながったという実感があります。

また、世の中には「本当は、あんな仕事がしたいのに」「本当は、こんなポストに就きたいのに」と現状に不満を抱える若手社員も多いようです。

たしかに「隣の芝は青く見える」ものかもしれません。今とは違う活躍の場を求めること自体は前向きな思考と言ってもいいでしょう。ただ、今、目の前にある仕事すら全力で遂行できないのなら、次でも中途半端になってしまう可能性も高いでしょう。

「今いる場所ではやりたいことができない」と決めつけるのではなく、「今いる場所で、いかにやりたいことを仕事に取り入れるか」を考える。三振に終わってもいいから、まず今、いる場所で打席に立ってフルスイングする。やはりオーナーシップをもって今の仕事に全力で取り組んだほうが、よほど未来は明るいはずです。

今、目の前にあることに力を尽くし、失敗も体験しながら、時には上司に楯突くくらいの強い想いをもって仕事に取り組む、その繰り返しによってこそ、道は拓かれるのです。

本書を読んでいても、著者が強烈なオーナーシップの持ち主であることがうかがわれます。それをもって全力で仕事に取り組むことで、確実に信頼を勝ち取り、チャンスをつかみ、ふさわしいポストに就いていく様子に胸が熱くなりました。

入社1年目から経営者まで参考になる書

本書では、著者がどんなことを大事にしているのか、どうやって周囲とコミュニケーションを図り、アメリカ任天堂および任天堂本社で信頼を醸成したのか、時には周囲とぶつかりながら、いかに「こう」と思ったことに心血を注いだのかなどが、つぶさに語られています。

また、冒頭でも述べたように、本書は企業再生本でありながらも、全編を通して、いちマーケターからアメリカ任天堂のセールス&マーケティングの責任者、社長兼COO、さらには任天堂本社の執行役員にまでなった著者の立身出世ストーリーでもあります。一人のビジネスパーソンとして成長し、チャンスをつかむには、どう仕事に向き合うべきなのか。

著者は一種の「成り上がり」を成功させたという目で読めば、入社1年目〜数年の若手社員や中堅社員も多くを学び取ることができるはずです。

(後編に続く)

(構成:福島結実子)

池見 幸浩:grooves(グルーヴス)代表取締役

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