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2024年「路線価」から見る「不動産市場の三極化」 景気回復や観光需要で上昇傾向だが地域格差も

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 8時30分

栃木県宇都宮市は次世代型路面電車(LRT)で交通利便性が向上し、沿線住宅地の地価が上昇している(写真:yama1221 / PIXTA)

7月1日に公表された全国平均の路線価は、前年比で2.3%の上昇を見せた。3年連続で前年を上回っており、2010年以降で最大の上昇率である。これは新型コロナウイルス感染症からの経済の立ち直りとインバウンド需要回復、それに伴う不動産市場の活性化が大きな要因となっている。

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路線価は、公示地価の約80%を目安に設定されるため、公示地価の動向も参考になる。今年の公示地価は全国平均で前年比約3.4%上昇しており、これが路線価の上昇に直接つながっている。

ちなみに路線価とは、道路に面する土地1平方メートルあたりの価格で、相続税や贈与税など税金算出のもとになる。一方、公示地価とは一般的な土地売買での指標や公共事業の取得価格の基準となるもので、毎年3月下旬に発表される。

今年の路線価の特徴は?

今年の路線価を見ると、商業地には「都心部大都市圏の上昇」「観光地の回復」「再開発の影響」といった特徴が見られる。

東京都の路線価は前年比5.3%上昇した。これは、ビジネス活動の再開やリモートワークからの出社回帰とともに、企業のオフィス需要が増えていることが背景にある。大阪府でも同様に商業地への需要が強まっている。


「観光地の回復」では、浅草の雷門通りが前年比16.7%となるなど高い上昇率を見せた。大阪市中央区(道頓堀地区)でもインバウンド需要が増し、大幅に回復している。

一方、15.1%上昇した東京都足立区・北千住駅西口駅前広場通りなど、再開発が進むエリアも高い伸び率だった。

首都圏では、通勤圏内のエリアも軒並み上昇している。

地方でも上昇傾向が顕著に

地方でも地価の上昇が見られた。

福岡県では商業地への需要が増え、前年比で約5.8%と都道府県別ではトップの上昇を記録した。これは、地方都市における商業活動の活発化と、観光業の回復が影響していると考えられる。

また、沖縄県でも観光業の回復に伴い、商業地の路線価が前年比で約5.6%上昇した。これは都道府県別で2位の上昇率である。

地方における地価の上昇は、地方創生や観光振興策が効果を上げている証拠である。特に観光業が回復し、観光客が増加したことで商業地の需要が高まった。これにより、地方の経済も活性化し、地価の上昇が見られるようになった。

特定地域の事例としては、栃木県宇都宮市が昨年8月に開業した次世代型路面電車(LRT)による交通利便性向上により、沿線住宅地の地価が上昇した。

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