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「星野トマムを売却」中国企業の"謎だらけの行動" 売却に至った複雑事情、売却先は何者なのか?

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 17時0分

今回の星野リゾートトマムの売却に関する記事のほとんどが、不動産不況を背景に復星国際が資産売却を進めていたことを紹介している。それ自体は事実である。

中国不動産大手「恒大集団」の債務危機が2021年秋に表面化し、中国では信用不安が他社に広がっていった。復星国際に飛び火したのは2022年6月。アメリカの格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが復星国際の格付けの見直しを始め、段階的に格付けを引き下げた。報道によると今は十分な情報が得られないことを理由に格付けは取り下げられている。

信用不安に見舞われた復星国際は2022年、アサヒグループホールディングスから2017年に取得した青島ビールや製造業・鉱山業子会社の株式などを次々に売却した。現地メディアの報道によると、2022年の資産売却額は30億ドル(約4800億円)を超えた。

大規模な資産切り離しや資金調達が奏功し、2023年に入ると復星国際の業績は回復に転じる。2022年12月期に5億4000万元(約118億円)だった純利益は、2023年12月期に13億7910万元(約303億円)に増えた。

ゼロコロナ政策の終了で旅行市場が急回復したことで、クラブメッドの売上高がコロナ禍前の2019年と比べても18%伸び、中国の海南島のホテルの売上高が過去最高となるなど、リゾート事業も急回復した。

今年も復星国際は欧州の銀行を複数売却するなど、事業売却を続けている。ただし、2022年から「消費ビジネスに集中するため、非中核事業を切り離す」方針は一貫しており、売却している産業は製造業や金融業が中心だ。

では消費ビジネスとは具体的に何か。2024年4月2日、2023年12月期の決算説明会に出席した復星国際の郭広昌会長は、「家庭消費」と「グローバル」をメインセクターに据えると明言した。

特に力を入れているのは、中国人の旅行需要回復を照準にしたリゾートビジネスで、同社は2023年から2025年にかけて、クラブメッドの施設を新たに17カ所オープンする計画を立てている。

豫園商城はキロロリゾートも取得

その1つである「クラブメッド・キロロ グランド」は2023年12月、北海道余市郡赤井川村で開業した。

同ホテルは2022年冬に開業した「クラブメッド・キロロピーク」に続くキロロリゾート2つ目のホテルである。そしてホテルとスキー場から構成されるキロロリゾートの現在を保有するのは、星野リゾートトマム売却を発表した豫園商城なのだ。

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