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「大正製薬の広告炎上?」怒る人は本当に多いのか 企業はネットでの批判に翻弄されるべきではない

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 18時40分

初期のSNSでの話題量はむしろムーニーの件よりも少なかったのだが、継続的に議論が続き、批判もなかなか収束しなかった。動画は結局、公開から約2カ月後に削除された。

こちらは、震災復興予算が使われていたこと、自治体のPR動画だったこと、必然性がなく性的表現がされていたことなどが影響していると思われる。

取り下げるのが適切かどうかは、批判の大きさや、批判の内容によるものよりは、表現そのものが適切かどうかであったか否かで決まってくる。

筆者は、過去に広告の炎上の分析を行い、対応策の助言をしてきたのだが、近年はネットメディアの報道に翻弄されることが多くなった。

筆者がSNS上の話題を拾って記事を書くようになって以来、たいして批判されていないものが「批判殺到」とされたり、SNSで数十件程度の批判的な意見が出ているに過ぎないものを「炎上」と報道されたりするケースを目にするようになった。

そうした記事が「寝た子を起こす」ことになったり、「火に油を注ぐ」ことになり、たいして議論になっていなかったことが「物議をかもす」ようになったりする。広告を出している企業にとっては、迷惑な話である。

企業はネットメディアの論調に翻弄されるべきではない

SNSの投稿やそれをまとめた記事は、どうしても目につくし、リアルタイムで反応が見えるので、つい気になってしまう。しかし、企業が本当に向き合わなければならないのは顧客であり、広告において反応を見なければならないのは、顧客になってくれそうな人たち、つまりは潜在顧客である。

当然のことながら、一部のSNSの声が既存顧客や潜在顧客の声を代表しているとは限らない(むしろ、そうでないことのほうが多い)。

一方で、今回のリポDの広告(あるいは先述のムーニーの動画も同様だが)は、子どもを持つ勤労女性のリアリティをとらえていたからこそ、批判の意見が出ていたという側面もありそうだ。

企業側としては、SNSでは測れない広告のポジティブな影響も含めて、広告効果を検証する必要があるだろう。

なお、ねとらぼの取材に対して、大正製薬は「ご質問いただいた件につきましては、回答を控えさせていただきます」と回答したとされている。

大正製薬側の対応は妥当であると思う。何を回答したところで、「話題のネタ」を提供することになるだろう。こうしたケースは放っておけば沈静化するものなので、広告は取り下げず、静観していればよいと思う。

批判的な意見は意見として受け取って、今後に活かせばよいだろう。

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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