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湯島の「まるでガウディなマンション」圧巻の内部 気になる間取りは?立地とも関係する外観

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 8時20分

その後は名残を受け継ぎ、料亭や旅館、ビジネスホテル、ラブホテルが並んでいた。近年、ホテルは数を減らし、歩くと新築のマンションが目に入る。

天神町placeも、もともとはホテルが建っていたが、賃貸住宅への事業転換によって建て替えることに。オーナーは、以前もホテルから賃貸住宅への建て替えで代表の伊藤博之氏に依頼した経緯があり、2軒目として再度設計を依頼した。

とはいえ、土地は傾斜して高低差があり、高いビルやマンションが囲む旗竿地。光や風は入りにくく、賃貸住宅を建てるには厳しい条件が多い。

そんななかで伊藤氏が考えたのは、曲線を描いた形状で、真ん中をくり抜く大胆なプランである。

「曲線を用いることで、周囲との正対を避け、ビルとビルの隙間からの採光や風、眺望を得ようと考えました。外側からだけでなく、内側からも光や風を採ろうと考え、中央を抜いて中庭を作りました」(伊藤氏)

それでも気になるのは、くり抜いた空間の暗さだ。模型で見ても、光の入りにくさが想像できる。

だが伊藤氏は、ネガティブな要素を逆に資源と捉え、細部を詰めていく。では、どのように設計したのだろうか。建物内のレポートに話を戻そう。

中庭に足を踏み入れると、高さ30mの壁に囲まれる。顔をあげると小さな空が見え、谷底にいるかのように錯覚する。だが圧迫感はなく、不思議と開放感が得られる。

伊藤氏がこの中庭で目指したのは、「暗くてもそこに居たいと思える居場所」を作ることだった。

暗い空間に光が差し込むように工夫

そのために行ったのが主に2つ。まずは「吹き抜けの廊下」を減らしたことである。

高層マンションに見られる吹き抜けは、空間を囲むように共用の廊下が巡らされている。下から見上げると、廊下の裏側が見え、影が落ちて空間全体が暗くなる。一般的な吹き抜けは、住人が通るだけの暗い場所で、人が過ごす居場所ではない。

吹き抜けの構造を持つ天神町placeでは、空間を囲む「廊下」に着目した。

「住戸につながる廊下の数をあえて減らすことにしました。そうすることで、壁が広くなり、廊下が落とす影は少なくなります。光が壁にあたり、1階の中庭にいても明るさを感じます」

もうひとつは、壁に「横穴」をランダムに開けたことだ。これも閉ざされた内部に、各方向から光や風を入れる役割を果たしている。朝や夜、日差しが強い夏や真っ暗な冬など、時間や季節によって射し込む光の量や角度は異なり、建物の表情も変わるという。

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