泉・立憲民主代表の交代論がささやかれるワケ 都知事選敗北なら責任論拡大、険しさ増す前途
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時30分
こうした党内の厳しい声に対し、泉氏は6月14日の記者会見で「経験者が有資格者だということになれば、過去首相を経験した人しか(代表を)できない」と気色ばんで反論した。ただ、泉氏に近い議員の間からも「(代表選出馬に必要な)20人の推薦人を集められるかすら不透明」(若手)と不安の声が漏れてくる。
というのも、次期代表選には、野田、枝野両氏以外でも、前回も立候補した小川淳也前政調会長に加え、中堅・若手議員によるグループ「直諫(ちょっかん)の会」会長の重徳和彦衆院議員が出馬の構えを見せており、「推薦人の取り合いになれば、泉氏は劣勢」(党幹部)との見方も出ているからだ。
3年ぶりの党首討論は岸田首相に「判定負け」
その泉氏にとって、代表としての最大の見せ場となるはずだったのが、前国会最終盤の6月19日に、3年ぶりに実施された「党首討論」。岸田文雄首相と野党各党首の対決は初めてで、裏金事件で追い詰められた岸田首相に対し、「泉氏が野党を代表して、岸田首相をどれだけ追い詰めるかが焦点」(政治ジャーナリスト)とみられていた。
もともと党首討論は、「衆参の予算委員会での質疑などと違って、党首同士の真剣勝負で、本来、用意されたメモの棒読みなどは許されない雰囲気」(同)だ。今回もNHKだけでなく民放テレビやネットでも生中継されただけに、「各党首の見識や討論力が厳しく問われる場となった」(自民国対幹部)のは間違いない。
特に泉氏は、野党第1党党首として最長の30分弱を割り当てられ、「野党の首相候補として見せ場を作れるか」(政治ジャーナリスト)が注目される中、まず「大将同士の討論だ」と切り出し、党首討論の直前に成立した改正政治資金規正法などでの岸田首相の対応について、厳しい口調で批判した。
これに対し、討論の前半は岸田首相が守勢に回っていたが、後半に差し掛かると反転攻勢が際立ち始めた。岸田首相が切り返しのポイントとしたのは、立憲民主の内部でも異論や反論が絶えない安全保障・エネルギー政策や憲法改正問題で、強い口調で「責任ある態度を示すべきだ」と泉氏を問い詰めた。
なかでも討論会場を騒然とさせたのは、岸田首相が「御党(立憲民主)は企業団体献金は禁止、(政治)資金パーティーは禁止、政策活動費も禁止。禁止、禁止、禁止というのは大変気持ちがいいかもしれない。しかし、現実的な政治の中で、政治資金というものは民主主義を支える重要な要素だ」と反論した際だった。普段の岸田首相からは考えられない強い口調での反撃に、泉氏も虚を突かれた形で言葉に詰まるなど、うろたえぶりを露呈した。
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