1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

路線価全国1位の銀座「まだ上がる」業界強気な訳 根強いテナント需要、国内の富裕層も取り込み

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 8時30分

銀座の中心エリア。左が鳩居堂、その隣が建て替え中の「三愛ドリームセンター」(記者撮影)

相続税や贈与税の算定基準となる路線価が7月1日、国税庁と全国の国税局より発表された。都内の標準宅地は、平均で前年比5.3%上昇。全国的にも平均2.3%上昇し、29都道府県で前年を上回る結果となった。

【グラフ】銀座「鳩居堂」前の路線価はバブル期を優に超えている

都内で上昇幅の大きかったのは、浅草の雷門通(16.7%増)、北千住駅西口駅前広場通り(15.1%増)、中野駅北口駅前広場前(13.2%増)。訪日観光客(インバウンド)の増加や再開発の影響が強いとみられる。

銀座「鳩居堂」前が39年連続で全国1位

その中で、改めて地価の高さを印象づけたのが銀座だ。銀座5丁目の老舗文具店「鳩居堂」前の1平方メートルあたりの路線価は4424万円と、39年連続で全国1位となった。エリアごとの最高地点で比較すると、今回初めて全国2位となった渋谷の「QFRONT」前が1平方メートルあたり3224万円。銀座の地価は、再開発で沸く渋谷と比べてもまだ35%以上高いことになる。

鳩居堂前の路線価の上昇幅は、コロナ禍が明け、3年ぶりの上昇に転じた昨年を上回る3.6%を記録。過去最高だった2020年の96%以上にまで回復した。すでにバブル期の水準も優に越えている。今後下落に転じる懸念はないのか。

「銀座の地価は上がって当然」「まだまだ上がる」。今回の取材では、不動産業界の関係者から強気な声が相次いだ。

銀座エリアに37の物件を保有し、「銀座の大家」の異名を持つ不動産大手のヒューリック。西浦三郎会長は「中央通りをはじめとした目抜き通りでは、坪あたり2億円を出しても買えない物件もある」と明かす。そのうえで、「確かに高くなっているが、実需があっての話。まだ上がる余地は十分にある」と続ける。

背景には、堅調なテナント需要がある。銀座中心部の路面店は、一度撤退すると次に入ることが難しくなるという事情から、「コロナ禍でもテナントはほとんど退去しなかった」(西浦会長)。

別の不動産業者は、「銀座には希少価値があり、テナントを募集すればすぐに埋まる」と話す。実際、2027年の竣工を目指し、ヒューリックが進める「銀座コア」ビル(銀座5丁目)の建て替えでは、すでに一部のテナントの入居が決まっており、賃料も募集水準を上回って成約するケースがあるという。

国内の富裕層も取り込む

不動産市場のデータを公表するCBREの調査によると、銀座中心部路面店の賃料は、2023年第3四半期でコロナ禍直前の水準を上回り、坪あたり26万0600円に上昇。2025年末には、26万9500円に達すると予想されている。中でも一等地とされるエリアの路面店賃料は、坪あたり40万円まで上昇している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください