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「日本流の戸建て住宅」がアメリカで売れる理由 積水ハウスと住友林業・大和ハウスで戦略に違い

東洋経済オンライン / 2024年7月7日 11時30分

そこに日本企業が続々と参入しているのは、米国の住宅建設会社の多くが昔ながらの手作業に近いやり方で工事を行っており、プレハブ技術によって競争力を発揮できると判断したからだ。

4年前から米国での事業拡大に乗り出した旭化成ホームズの川畑文俊社長によると「米国では戸建て住宅の工期が1年かかるというケースも珍しくない」。そこに同社のプレハブ技術を持ち込むことでサブコントラクター(専門建設業者)として現地ホームビルダーからの受注を伸ばしているという。

住宅生産の工業化が進んでいる日本

日本で住宅生産の工業化が始まったのは戦後から。それまでは伝統構法の「軸組工法」で大工などの職人が手作業で住宅を建ててきたが、戦後の住宅不足問題に対応するため通商産業省(現・経済産業省)主導で工業化を推進してきた。プレハブ住宅の最初は、1959年に発売された大和ハウス工業の「ミゼットハウス」だが、翌1960年には積水ハウスが創業した。

ハウスメーカー各社は、それぞれ独自の工法を開発し、大和ハウス、積水ハウスなどは軽量鉄骨造、旭化成ホームズは重量鉄骨造の住宅を主力商品として展開。当初、軸組工法を採用していた住友林業も、現在では独自開発の「ビックフレーム(BF)構法」が大半を占める。ほかにミサワホームの木質パネル接着工法、積水化学工業のユニット工法などもあり、日本ではさまざまな工法が乱立する状態となった。

一方、米国の戸建て住宅市場は、ハリケーンが多いフロリダ州でブロック造の住宅が多い以外、「2×4工法」が標準工法として広く普及してきた。住宅を建設する技能労働者は「2×4工法」の技術を習得すれば、新築だけでなく、市場全体の8割を占める住宅ストックの改修やリノベーションにも対応しやすい。移民など賃金が安い労働力が獲得しやすかったこともあって、住宅生産の工業化が進んでいなかったようだ。

北米産木材を日本に輸出してきた住友林業は環境規制の強化などを見通して、2003年から米国での住宅事業を開始した。これまでに現地企業5社を買収し、現在では16州で事業を展開。2023年12月期の引き渡し戸数は約1万2000戸と、日本での販売戸数約8200戸を上回っている。現在は「2×4工法」をパネル化し、製造・配送・施工までを工業化したFITP事業に力を入れており、今年に入ってメリーランド州に6番目の工場が完成。2030年には年2万3000戸の供給を目指している。

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