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日本が「4年連続1位→38位」に転落した国際的指標 韓国は20位、アジアで日本より下位は3カ国のみ

東洋経済オンライン / 2024年7月7日 11時0分

IMDは、「世界人材ランキング」も作成している。2023年9月に公表された2023年の結果を見ると、世界64カ国・地域の中で、1位がスイス、2位がルクセンブルク、3位がアイスランドなどとなっている。

以下、ヨーロッパの人口が比較的少ない国が続く。アジアでは、シンガポールが世界第8位だ。そして、香港が第16位、台湾が第20位、マレーシアが第33位、韓国が第34位、中国が第41位となっている。

日本は第43位だ。これまで見てきたIMD世界ランキングの中で、最低だ。2019年には第35位だったので、ここでも日本は劣化していることになる。

評価は、つぎの3つの項目によってなされている。第1は「人材投資と開発」(日本は世界第36位)。これは、教育に対する公的支出、教師の数、雇用訓練、女性労働者比率、健康のインフラストラクチャーなどだ。

第2は、「アピール」(魅力)」(日本は世界第23位)。これは、生活費、頭脳流出、生活の質、外国の熟練専門家、個人所得税などだ。

第3は「準備」(日本は世界第58位)。これは、労働力の成長率、専門家、金融の技術、国際的経験、シニアマネージャーの能力、初・中教育、理系の人材、大学での教育、経営の教育、語学の能力などだ。

「国際的な経験」では、文字通り世界最低

日本が特に低いのは、「国際的な経験」(世界第64位)、「シニアマネージャーの能力」(世界第62位)、「語学の能力」(世界第60位)だ。「国際的な経験」では、文字どおり世界最低だ。

国際経験の面で日本人に問題があるとは、これまでもしばしば指摘されてきたことだが、このように「世界最低」という数字を突きつけられると、改めて愕然とする。

そして、このことがビジネスの機敏性などに影響与えていることは疑いがない。つまり世界が大きく変化していることを、日本の経営者は肌で感じられず、そのため必要な対応をしていないのだ。

日本が、IT革命、世界的水平分業の進展、製造業のファブレス化といった大きな変化に対応できなかったのは、そうした変化を身の回りの出来事として直接に感じることができなかったからだろう。

2000年頃にアメリカのシリコンバレーで生活をしていれば、世界が大きく変わりつつあることを日常体験として経験できた。そして、それに対応しない限り将来はないことを、実感できたに違いない。

留学生数を見ても、韓国と比べて、日本は約4分の1と非常に少ない。人口あたりで見れば、もっと少ない。

これに関して、最近さらに問題が生じている。それは円安だ。これによって日本人が外国に留学する費用が著しく高騰している。そのために、計画していた留学を諦める人も増えている。

この問題の解決は、決して簡単ではない。しかし、日本衰退を食い止めるためのカギがここにあることを、認識すべきだ。

野口 悠紀雄:一橋大学名誉教授

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