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中央アジア「ATMと米ドル」使えない国・使わない国 日が暮れてからトラブると途方に暮れまくる

東洋経済オンライン / 2024年7月8日 17時0分

「わたし、もう一度頼んでみる」

土俵を割っていることに気づかないで、軍配があがってからツッパリをかます人種だ。 どちらが良い悪いとは言わないけれど、たっぷりと1時間後、1000ドル分のお札を握って戻ってきたYukoだった。でかしたっ!

自慢げに鼻の穴をおっ広げたYukoの説明では、何をどうでかしたのかさっぱりわからない。が、2階のマネジャー室に通されるほど面倒をかけ、守衛のおじさんにナンパされてSNSの交換をしたそうだ。このとき得た情報はふたつ。

ひとつ、窓口は信用ならない、そして、ATMだって休むということだった。2500ドルを手にして、トルクメニスタンの国境事務所に入った。

窓口をたらい回しに

職員たちは、見慣れない顔をしたアジア人が、見たことのない小さな車で、聞いたことのない言葉をしゃべっているというので、特別に担当者をつけてくれた。

ただひとり英語を話せるアルク君、18歳だ。ライフル銃を肩に下げた彼は、

「徴兵なんか来たくなかったんだ。本当だったらボクはね……」

愚痴をこぼしながら、心から面倒くさそうに手続きを手伝ってくれた。彼の持ち前の事務処理能力のなさと段取りの悪さが功を奏して、一生終わらないかと思うくらい窓口をたらい回されて、5時間半後に終わった。税金等で140ドルも取られたのは、指のさかむけをひっぱられた以上に痛い出費だった。

絶対に両替えできない状況で奥さんがとった行動

急いで最寄りの町まで走って、両替屋を探すためにYukoが通りに出る。

すぐに暇そうなおじさんたちが、珍しい顔の猿が歩いてるぞってな感じで集まって来た。Yukoの顔は、あれはあれで役に立つのである。

10人以上もおじさんが集まったわりにひとりも英語を話せなかったけれど、お互いの言葉を各々が勝手にしゃべっていると、不思議と次のことがわかったそうだ。

①夕方だから、両替屋は閉まっていること

②仮に昼間だとしても、土曜日は休みだということ

とどのつまり、今こそは絶対に両替えできないってことだ。ボクは例によって竹を割ったようにさっぱりした性格だから、なす術なし!と秒速で結論を出したが、Yukoにとってはここからが正念場である。

「ちょっと、行ってくる」と、小さなホテルに入っていった。

30分後、100ドル分のトルクメニスタンのお金を握って戻ってきたのだった。 聞くところによると、ホテル中のスタッフが財布を開いて集めてくれたらしい。うちの奥さんってスゴいかも! 現地で学んだ。

石澤 義裕

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