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鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ

東洋経済オンライン / 2024年7月8日 7時30分

実戦投入に先立つ6月27日、実用化バージョンが都内で公開された。黒を基調とした零式人機と異なり、新たにお目見えした実用化バージョンは青い外殻に覆われている。青はもちろん、JR西日本のコーポレートカラーである。そして、胸に小さく「NIPPON SIGNAL」の文字が。零式人機は胸に「人機一体」と書かれていたので、メーカーが変わったということが確認できる。

試作機と実用化バージョンは何が違うのか。この点についてJR西日本に尋ねると、「耐久性を高めた」(同社電気部電気技術室(システムチェンジ)の梅田善和課長)とのことだった。屋外で作業すれば雨、風、防塵などの対策が必要となる。これが外装を強化した狙いということだ。

当面はこの1台とのことだが、「実際の作業で効果が確認できれば増やしていきたい」(長谷川社長)。さらに今後も開発を継続して、塗装や伐採以外の作業にも広げていく。人機一体の金岡博士社長は「JR西日本で行う作業はほかのJRや鉄道各社にも横展開が可能」と話す。JR西日本で成功すれば、同じように人手不足に悩むJR各社が採用する可能性は高い。

さらに、その先の将来としてトンネル内の点検、清掃や交通信号機の取り替えなど、長谷川社長は「インフラメンテナンス全般に広げて、労働力不足の解消に貢献していきたい」と意気込む。ほかの業界にも波及して採用企業が増えれば、製造台数が増える。製造を担う日本信号にしても量産化によって利益を稼ぎたいはずだ。

なお、今回の実用化バージョンをJR西日本は「多機能型鉄道作業用重機」と呼んでいるが、あまりにも呼びにくい。人機一体が製造した試作機には零式人機という愛称がある。この点について、梅田課長に尋ねると、愛称を付ける計画はあるようだ。「公募もしながら使用する人たちに決めていただく」(梅田課長)。せっかく人の形をした重機なのだから、「ガンダム」「パトレイバー」のような愛称を付ければ大きな話題を集めるに違いない。

滋賀をロボット産業の拠点に

JR西日本が鉄道作業用重機の本格稼働に向け準備をしていた頃、人機一体は滋賀県草津市にある本社で新たな試作機の開発に取り組んでいた。6月10日には、三日月大造知事が同社を訪れた。

国は有望なスタートアップを育成支援する「J-Startup(ジェイスタートアップ)」という取り組みを行っており、関西から76社が選定されているが、その多くが大阪、神戸、京都といった大都市に本社を構えており、滋賀県の企業は人機一体1社のみ。三日月知事は滋賀県でもスタートアップ支援を強化したいと考えており、人機一体の持つ技術を自分の目で確かめたいと考えたのだ。

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