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鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ

東洋経済オンライン / 2024年7月8日 7時30分

知事はまず本社オフィスで金岡社長から事業概要に関する説明を受けた後、隣接する「格納庫」に移動して零式人機のコックピットに乗り込んだ。ゴーグルを着装してロボットの視界をのぞき、作業に応じて操縦桿から伝わってくる感触を確かめながらロボットを動かした。操作を終えた知事は「自分の体を自分で動かしているような感覚で、想像以上にすごかった」と驚きを隠さなかった。

その後の意見交換で、金岡社長は、自分の所有地を本社用地として提供してくれた恩人の存在を明かした。「この人は地元の発展に尽力しており、私たちを支援してくれる条件が滋賀県に本社を置くことだった。だから本社を県外に移転することはまったく考えていません」と滋賀県へのこだわりを強調し、「滋賀県を起点に、自動車産業やコンピューター産業のように、ロボットという新しい産業を作りたい」と夢を語った。「誰もが電卓を使って複雑な計算をするように、ロボットで仕事をするような社会になればいい」。

そして、夢の実現に向け県の支援を要望した。三日月知事は「実証実験のフィールドを提供したい」と回答したが、金岡社長は「県と提携したい」とさらに深い支援を要望した。

スタートアップがいかに良い技術を持っていてもそれでビジネスが進むとは限らない。事業を進めるうえでリスクは付きものだが、信用力がないとリスクを取ることはできない。「県から“応援している”と言ってもらえるだけでも信用力は高まる」。三日月知事も「それなら難しいことではない」として、「具体的に何ができるか考えてみたい」と返答した。

二足歩行型も準備が進む

零式人機の傍らには、二足歩行タイプの「零一式人機カレイド」が置かれていた。川崎重工業が開発したヒューマノイドロボット「カレイド」をベースに、人機一体の力制御技術を組み合わせた。落下リスクのある高所、有毒物質が残る解体現場などでの危険な作業を代替する。8月に発表される予定で、その後は実用化に向け、実証試験に取り組む。零式人機は上半身だけだが、カレイドは完全に人間の形をしている。

ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」、ホンダの「ASIMO(アシモ)」のような人型ロボットはすでに開発されているが、危険を伴う場所で人間の代わりに作業を行うという段階には達していない。新しいロボットがどの程度の作業をこなせるか。JR西日本の人型重機が動く姿を見ていると、期待は高まるいっぽうだ。

大坂 直樹:東洋経済 記者

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