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テレビ朝日「物言う市民株主」が異例の株主提案 前法政大総長や元文科次官が報道の自由求め 

東洋経済オンライン / 2024年7月8日 15時0分

そこで古賀氏は23日の放送中に「後藤さんは犠牲になるかもしれない」と、安倍首相の対応を批判し、「I am not ABE」と言ったのだ。日本人全員が安倍首相と同じ考えではないというメッセージだった。

強烈なメッセージ

すると、まだ放送が終わらぬうちに官房長官秘書官の中村氏からテレ朝の報道局ニュースセンター編集長(当時)にショートメールが入った。古賀氏の『日本中枢の狂謀』によると〈その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だった〉という。

湯川さんは1月24日、後藤さんは1月30日に殺害された。

テレ朝も、金曜コメンテーターだった古賀氏を3月末で降ろす方針を固める。2015年3月27日(金)、古賀氏は報ステの放送中、「テレビ朝日の早河(洋)会長、古館プロダクションの佐藤(孝)会長のご意向で(出演は)これが最後」「菅官房長官(当時)はじめ官邸の皆さんにはものすごいバッシングを受けてきました」と暴露する。そして再び「I am not ABE」のフリップを掲げた。

当時、古賀氏の暴露発言はメディアでセンセーショナルに取り上げられたが、「安倍一強」のころでもあり、政権の放送介入やテレ朝側の忖度はうやむやにされてきた。

それから8年近くが過ぎた2023年3月の国会で、当時の安倍政権が放送局への圧力を強めていたことをうかがわせる文書が明らかになった。

この日、立憲民主党議員の要請に対し、総務省は「『政治的公平』に関する放送法の解釈について(磯崎補佐官関連)」という行政文書を公開。そこには礒崎陽輔首相補佐官(当時)が、安倍首相の後押しを受け、放送法第4条の「政治的公平」性の判断を、「放送事業者の番組全体」から「一つの番組」でもできるように総務省に迫り、押し切ったプロセスが記録されていた。

市民ネットはテレビ朝日の株主総会で、この行政文書も視野に入れ、「報ステ」への政権幹部からの介入の存否、その経過、会社側の対応について、第三者委員会を設けて調査、公表するよう定款の変更を求めた。

共同代表の田中優子氏は、株主提案に込めた思いをこう語る。

「後藤健二さんは法政大学の卒業生です。2015年、私は法政大学の総長をしていました。『I am not ABE』と古賀さんが掲げた思いは鮮明にわかります。日本では、危険な戦地に行くのはフリーのジャーナリストばかりで、大手の新聞社やテレビ局の社員は行かない。そういう実態も知りました。近年、安保3文書の閣議決定や、南西諸島への自衛隊配備など、戦争の足音が響いています。ここでメディアが自由にものを言えなくなったら、日本はまた破滅します。だからテレビ朝日を応援して、報道の自由を守りたいのです。テレビ局は被害者だと株主総会で申し上げました。政権の介入があったにしろ、なかったにしろ、事実を調査し、公表すれば、将来にわたって視聴者の信頼を得られると期待したのです」

「圧力はない」が抗議もせず

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