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任天堂復活のカギは「カルチャー」の変化にあり? 「縦割り構造」が会社にもたらす根深い問題

東洋経済オンライン / 2024年7月9日 11時0分

周囲に知られないようダイレクトメッセージでやり取りせねばならない局面なんて、同じ組織内では基本的にないはずではないでしょうか(写真:8x10/PIXTA)

世界に冠たる日本企業でありながら、一時期、競合他社の後塵を拝していた任天堂。その起死回生の立役者のひとりとなったのが、『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』の著者レジー・フィサメィだ。

任天堂復活を支えたものとは何だったのか。「企業の強さの根源はカルチャーにあり」と考える起業家・経営者の池見幸浩氏が、本書を通じ改めて考察した「企業カルチャー論」を語る。

アメリカ任天堂から始まった「縦割り構造」打破

『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』では、セールス&マーケティングのEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)としてアメリカ任天堂に迎えられた著者が、部下たちとコミュニケーションを図りながら、同社のカルチャーにまでテコ入れする様が語られています。

ハイチ移民の子として生まれたアメリカ任天堂の元社長兼COOのレジー・フィサメィが35年のキャリアで学んだ教訓と哲学とは?

僕も「企業の強みの根源はカルチャーにある」と考えているため、その点でも非常に共感できました。

本書によると、当時、任天堂にはアジア統括する子会社(NCL)、ヨーロッパを統括する子会社(NOE)、アメリカを統括する子会社(NOA=アメリカ任天堂)があり、地域間で競っていたために成功事例などを共有するカルチャーがありませんでした。

みな任天堂という大家族の一員であるにもかかわらず、互いに競い合うばかりで分断され、有益な情報共有が行われていない。グループ全体として考えれば、これが大きなボトルネックになっていたことは想像にかたくありません。

そんな縦割りカルチャーに、アメリカ任天堂という最大子会社から風穴をあけたのが著者でした。

他の地域から学び、成功につながったアイデアは取り入れる一方、同じ失敗は避ける。信頼感に基づく対話を促すために、個人間の人間関係を重視する。プロジェクトごとに特に功績の大きかったスタッフには労いのメッセージを書いたカードを贈り、彼ら・彼女らのさらなる意欲向上を図る。こうした著者の信念と地道な実践により、徐々にアメリカ任天堂はフラットな組織へと変わっていったと言います。

情報の透明化がセレンディピティを生む

手前味噌になりますが、当社Grooves(グルーヴス)でも「オープン&フラット」というバリューを体現する行動指針をカルチャーとして根付かせる試みをしています。

「オープン&フラット」というバリューを体現する行動指針は、「情報の透明化と積極的な共有」。そのためにSlackというチャットサービス上で行われるコミュニケーションは、クローズドなダイレクトメッセージではなく、平均で90%以上をオープンなチャンネルで行うように仕組み化しています。すると、リアルタイムでコミュニケーションに参加していなかった人でも、たとえば「あのプロジェクトはどうなってるんだろう」「参考にしたい」と思ったら、Slack内のキーワード検索ひとつで必要な情報にアクセスできます。

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