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JR芸備線の閑散区間「東城駅」実際どんなところ? 輸送密度13人だが、なぜか外国人観光客もいる

東洋経済オンライン / 2024年7月9日 7時30分

備後落合駅でボランティアガイドを行っている元国鉄機関士の永橋則夫さんは「駅ノートを見ていると備後落合駅には北海道から九州までさまざまなところからお客さんが来てくれている」と話す。さらに近年では伯備線に乗車するフランス人などの外国人観光客も目立つようになっており、そのうち芸備線に興味をもち備後落合を訪問する人も一定数いるという。永橋さんは芸備線で乗務していたこともあり、その話を聞くためにわざわざ遠方から訪れる人がいるという。ここでは鉄道そのものが観光資源となっている印象だ。

メンテナンスが放置された芸備線の閑散区間

備後落合駅を14時42分に発車する新見行の普通列車は、三次や宍道方面からの乗り換え客であっという間に席が埋まり10人ほどの立ち席客を出して定刻通りに発車した。乗客数は60人ほどだが、車体の全長が16mと通常の鉄道車両よりサイズが一回り小さいキハ120形気動車1両では相当な圧迫感を感じる。

備後落合駅を発車してしばらくすると、線路わきに生えている立木の枝がゴツゴツと音を立てて車体に当たり始める。また、鉄橋やトンネルなどのいたる所に時速25kmの速度制限が課せられており列車の速度が低く、線路のメンテナンスが放置されている印象を受ける。なお、備後落合―東城間25.8kmには49分もの時間を要するのに対して、自家用車では25分程度で移動ができる。

こうした状況について、鉄道土木に詳しい富山大学特別研究教授の金山洋一氏は、時速25kmの速度制限については「経営上、まとまった保守費を当てられない中で、列車走行による軌道破壊の抑制を期待して速度抑制を行っていることと、軌道状態が低下したことにより速度が出せなくなったこと」が要因として考えられると解説する。「速度や運行頻度といった鉄道の強みを失っても路線の維持を図ってきた姿勢を見ることができるが、鉄道の強みを低下させているため利用面では負のスパイラル状態」だという。

東城駅が近づくと、突如として車窓には秘境には似つかわしくない真新しい住宅や工場などが立ち並ぶ大きな市街地が現れた。

想像以上に栄えている庄原市東城町

東城駅で下車したのは筆者だけだったが、まず驚いたのが東城の市街地には大型スーパーやドラッグストア、24時間営業のコンビニエンスストアが複数件立地しており街の活気を感じられたことだった。また、駅舎もきれいに整備されており、ホーム端には「やっぱり、芸備線がええよのぉ!庄原市」と書かれたのぼりと横断幕も掲げられていた。

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