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JR芸備線の閑散区間「東城駅」実際どんなところ? 輸送密度13人だが、なぜか外国人観光客もいる

東洋経済オンライン / 2024年7月9日 7時30分

東城駅のある庄原市東城町は2005年3月までは比婆郡東城町という独立した自治体だったが、平成の大合併により庄原市となった。こうしたことから旧東城町役場だった場所には庄原市東城支所が置かれており、東城地区だけで7000人弱の人口集積がある。さらに東城地区には日東粉化工業や竹原化学工業、積水樹脂などの工場が立地しているほか、大阪府吹田市と山口県下関市を結ぶ中国自動車道の東城インターも置かれている。

筆者は、東城インター向かいにある「『道の駅』遊YOUさろん東城」にも立ち寄り、職員の方に話を聞いたところ「東城への観光客は高速道路で訪れる人がほとんど」ということだった。しかし、来訪者の居住地は、岡山や広島に加えて京阪神地域と近隣の地域が目立つということで、備後落合駅のように全国各地から人が集まっているという状況ではないようだ。

なお、東城の住民は通院やその他の所用などで、新見、庄原方面に出かける機会が多いというが、鉄道が使い物にならないことから両地区へ25~30分程度で移動できる自家用車での利用がメインで、新見方面に行くのに芸備線を使う人がわずかながらにいるという。

それでも庄原市では、市の予算で東城駅舎の維持管理を行っている。市役所地域交通課に話を聞いたところ、駅舎の維持管理については「必要に応じて駅舎の修繕などの経費を市の予算として計上している」そうで、駅窓口での切符の販売についても「市がJR西日本との契約に基づいて市内の事業者に乗車券類の販売業務を委託している」ということだった。さらに庄原市全体の取り組みとしては、2020年から継続的にイベントの実施やパーク&ライドの社会実験など芸備線の利用促進に関する取り組みを継続的に実施しており、庄原市は芸備線の活性化についてできることを積み重ねている印象を受けた。

沿線自治体では、過去には芸備線の改善に向けて抜本的な取り組みを行おうとしたこともあった。さかのぼること1991年11月、当時の沿線7市町で作る芸備線対策協議会では、芸備線の高速化に向けて、当時の最新式振り子式特急型車両であるJR四国の2000系気動車を借り受けて広島―三次―東城間で試運転が行われた。特に広島―三次間では当時の急行列車よりも11分早い59分で運行できることがわかり、三次市では「芸備線が高速化できれば広島市まで通勤圏内となり経済効果が生まれる」と期待の声が上がることとなった。こうしたことから、沿線自治体で車両を購入しJRにリースする案などが検討されたというが、当時を知る関係者は「JRが拒否したことにより実現には至らなかった」と悔しさをにじませる。

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