1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

家を買うなら「谷・丘・山・台」つく地名は要注意だ 「地価暴落・空き家増・店舗閉鎖…」リスクあり?

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 12時0分

とはいえ、悪いところばかりではない。

全国的に見て、「〇〇が丘」「〇〇台」などの坂の街は住民の自治意識が高く、ゴミなどは散らかっていないし、地区計画など街並みを守ろうとする住民発意の取り組みもある。

広島湾を囲む広島市や呉市、多くの入江を有する横須賀市は、水深が深い海軍拠点の好立地地形であり、結果として地上に突き出した部分も高低差が激しい坂の街である。

長崎市や神戸市も似たところがある。

明治時代から軍事需要や造船業に育てられ、人事拠点や海洋関連の工場で日本を支えてきた立派な都市群だ。

こうした都市群において人口が減っていくのは、旧来のビジネスモデルの見直しが万全でなかったためでもあろう。

半世紀前の開発時は人口が増えていたが、相続では長男有利の時代だったため、次男以下は坂の町に住み、「坂上二郎」さんが、たくさんいたはずだ。出生率から見て一人っ子が多く、「次男がいない」という状況は、右肩下がりの坂の街には試練といえる。

坂の町の災害リスク

「〇〇が丘」「〇〇台」の名前を誇りにしてきた急峻な新興住宅街は、災害リスクも抱えている。

地球温暖化で雪や路面凍結などは減るだろうが、線状降水帯の増加による集中豪雨などが増えるからだ。

それを思い出させるのは、線状降水のニュースが洪水のようにあふれる梅雨の時期だ。

たとえば、人口増加を狙った広島市は、狭い旧市街地ではなく、安佐南区や安佐北区の中国山地を切り開いた住宅開発を認めてきた。その結果、これらの地区は豪雨による土砂災害などに見舞われてきた。

世田谷や横浜は高級住宅街のイメージをいまだひきずり、都心から距離がある割に不動産価格は高値を維持しており、まだまだ高嶺の花といえる。

まちづくり条例がしっかりしている世田谷区は、住居エリアの容積率や建蔽率の規制もしっかりしている。

これは世田谷は多摩川沿いの河岸段丘の街であり、標高差が目立つ丘や谷が多いからという理由もある。

世田谷の語源は「瀬戸」(狭小で急峻な海峡・谷間)と「谷」とも解釈できる。

横浜も、観光客が訪れるみなとみらいなどは埋立地で平坦だが、その多くは丘陵地帯で、都心部から離れたエリアはとにかく坂が多い。

2023年、世田谷区成城で大規模な擁壁崩れが起きて、テレビなどで盛んに報じられた。擁壁崩れがあった場所はかつてマンションのような建物があったらしいが、事故時は解体されて更地に化けていた。

ところが建物があった後方ののり面に擁壁等がなく、崩落前はマンションが擁壁の機能を果たしていたのかもしれない。

「〇〇が丘」「〇〇台」「谷」「丘」「山」のつく地名

住みやすいかどうかという視点で住宅を選ぶなら、地名にも注意することだ。

不便な高台にあるエリア、坂の多いエリア、無理な山林開発が行われたエリアなどは、地図を見ただけではわかりにくい。

開発された住宅地を示す「〇〇が丘」「〇〇台」、高低差のある「谷」「丘」「山」のように、地名にヒントが隠されていることもある。

本稿を執筆中の6月末、筆者が長年観察してきた奈良県生駒市の住宅地で土砂崩れが起こった。生駒市は生駒山の麓にあり、高低差のある坂の町として知られている。

住宅購入を検討するなら、そのエリアの開発の歴史などを探ったうえで、10年後の住民構成や不動産価格がどうなっているかを考察するとよい。

山下 努:不動産ジャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください