「便秘の解消」専門医が導き出した"30年間の結論" 「腸の老化」の改善は、1日たった30秒でできる
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 16時0分
更年期を迎え、ホルモンのバランスが崩れると、自律神経が乱れやすくなりますし、糖尿病やパーキンソン病、認知症、甲状腺疾患、脳卒中といった高齢者に多い病気も、腸の働きを悪くします。こうしたさまざまな原因から、一般的に、高齢になると、便秘になりやすくなるのです。
お腹のトラブルがもたらす、さまざまな悪影響
腸内環境が悪化し、便秘や下痢などお腹のトラブルが生じると、まず集中力が低下したり、食事や外出を楽しめなくなったりします。
腸内環境が悪化すると自律神経も乱れるため、頭痛、めまい、動悸、息切れ、血圧上昇、多汗、食欲低下、冷え、肩こり、倦怠感、不眠といった全身症状や、イライラ、不安、抑うつ、パニック障害といった精神症状があらわれやすくなり、免疫細胞が力を発揮できなくなって免疫力が低下し、病気にかかりやすくもなります。
下痢が長く続くと、日常生活に支障が出たり体力を消耗したりするほか、体内の水分や栄養分などが失われ、脱水症状や栄養失調を引き起こすことがあります。
一方、便秘になると、腸内の便が腐敗して体にとって有害な物質が発生し、有害菌が増えて腸内環境がさらに悪化します。その結果、便やおならから異常な臭いがしたり、口臭や体臭がきつくなったりします。
発生した有害な物質が腸管から血液に入り込み、全身にまわると、肌荒れや頭痛、めまい、吐き気などの原因となりますし、血流も悪くなるため、冷えやむくみ、疲労や肩こりなどが起こりやすくなります。
また、便秘で便が硬くなると、痔にもなりやすく、排便時に過度にいきむことで血圧や心拍数が急上昇し、動脈硬化が加速したり、脳卒中や心血管疾患などが引き起こされたりすることもあります。
ほかに、便秘は肥満の原因にもなりますし、大腸がんや認知症のリスクも高めると考えられています。
お腹のトラブルを改善する「たった30秒」の腸活
30秒腸活とは、私が長年、患者さんたちにおすすめしてきた
・腸もみ呼吸法
・全身のばし
この2つを毎朝30秒ずつやっていただくというものです。
腸もみ呼吸法は、ゆっくりした呼吸で自律神経のバランスを整えつつ、腸のマッサージを行うことで、体の内側と外側の両方から腸に刺激を与え、ぜん動運動を促し、腸の機能や腸内環境を整えます。
全身のばしは、やはり自律神経のバランスを整えつつ、便秘や腸内環境悪化の原因となる猫背や腰の曲がりを正し、腸の働きを妨げる腹部の筋肉の硬直をほぐします。
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