24年上期「映画興収TOP10」に感じる"先行き不安" 大作の数が乏しい一方で、期待高い作品も
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 11時0分
2024年上半期の映画興収は前年比10%近くほど減少した。上半期時点で100億円超え作品は2本。23年上半期時点で3本だったことを考えると、やや見劣りがする数字だ。
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期待値が高い大作が乏しい
近年の年間興収は、コロナ禍以降、右肩上がりで回復してきた。
2023年の1〜5月の累計興収は前年比130%ほどとまれにみる好調さを見せ、下半期にも『君たちはどう生きるか』『ゴジラ-1.0』などの大作が公開された。
2023年通期では2214億8200万円と、歴代最高の2611億8000万円(2019年)の84.8%にも迫る勢いだった。
しかし今年は、夏休み映画を含めた下半期に、昨年に匹敵するような期待値の高い大作が乏しい。これまでの年間興収の成長路線に黄信号が灯っている。
上半期のTOP10は以下の通りだ。
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TOP5のうち4作品と、ランキング上位をアニメ作品が占めているのは、例年通りだ。
ハイキュー‼とコナンの勢い
そのなかでも注目したいのは上位2作。
とくに『劇場版ハイキュー!!』は、関係者も予測できなかった大ヒットになった。これまでの劇場版シリーズの興収からしても、タイトルのファン層の規模からしても、公開からのスタートダッシュ直後は、100億円にどこまで迫ることができるかと見られていたが、一気に突き抜けた。
さらに近年、新作が公開されるたびに興収を伸ばしてきた『名探偵コナン』は、ついに150億円の大台を超えた。
今作ではタイトルの強さと、天井知らずの人気の伸びを示した一方、コアファンからは作品内容や、これまでのシリーズと比較したさまざまな意見が出ている。それでもライト層の新たなファンが、ここ数年で勢いよく増え続け、歴代最高興収を更新した。
劇場アニメは、コロナ下の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』から『ONE PIECE FILM RED』『劇場版 呪術廻戦 0』『THE FIRST SLAM DUNK』と、この5年ほどの間でスーパーヒット作品が登場し続けている。観客はマスにまで拡大し、アニメ映画の市場が広く定着しつつあることで、大きく映画の市場規模が底上げされている。それが今年上半期の2作の結果からもうかがい知ることができるのだ。
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