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24年上期「映画興収TOP10」に感じる"先行き不安" 大作の数が乏しい一方で、期待高い作品も

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 11時0分

実写よりもアニメ映画の勢いは目を見張るものがある。アニメ映画を支持する若者たちからすると、アニメと実写という区分けはないのかもしれない。おもしろそうな映画があれば観に行く。それがアニメばかりで、実写が少ないというだけなのだろう。

TOP10以外でも、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:』といったターゲットを絞り込んだアニメも、コアファンを確実に取り込んでスマッシュヒット。『劇場版ブルーロックー EPISODE 凪ー』は20億円に迫る大ヒットになっている。

近年の急激なアニメファンの裾野の広がりにより、こうした作品もこれからより大きく成長していくことが十分期待できるだろう。

とはいえ、アニメであれば何でもいいわけではない。100億円を超えるスーパーヒットになるのは、テレビアニメの人気タイトルシリーズをはじめ、限られたひと握りの作品のみだ。オリジナル新作アニメも数多く公開されてはいるが、ここまでの大きなタイトルに育つのは簡単ではない。

ちなみに今年のワールドツアー上映『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』は、20億円台になりそうだ。昨年の『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』は41.6億円だったことを考えると、その半分強ほど。変わらず根強い人気を誇るが、多くの強力タイトルが公開されるなか、やはり新作が出ないと一般層への求心力は落ちていくことが示された。

YouTubeで人気「変な家」が大ヒット

邦画実写は、昨年上半期の劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(45.3億円)や『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』(27.1億円)のようなビッグタイトルのヒットがなかった一方、『変な家』(56億円)の大ヒットが生まれた。

「変な家」が画期的なのは、人気漫画の映画化でもなければ、ドラマの映画化でもないこと。YouTube動画で火が付き、その後ミステリー小説化した作品が、50億円を超える大ヒットを記録。上半期実写1位になったのだ。

客層が子どもにも広がっている点が、これまでのホラー映画とは異なるヒット規模になった要因の1つ。YouTubeで話題になり、SNSでの知名度が高いことや、後半のストーリー展開での意外なホラーテイストなどが「怖いけれども、おもしろい映画」として若い世代を引き付けた。

50億円という数字は、ホラーテイストの映画としては異例のヒットだ。家の間取りという題材や元ネタの出所、作品性などを総合的に含めて新規性があり、従来のジャパニーズホラーとは異なる、これからの時代の新たなヒットパターンの1つになった。

“高齢者映画”のスマッシュヒット

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