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フランス総選挙で予想外、極右政党「急失速」のなぜ それでも「マクロンは終わった」と指摘される理由

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 7時30分

今回の労働党の圧勝は、EU離脱、スコットランド独立運動、テロの脅威やウクライナ紛争を含むロシアとの緊張、コロナ禍などイギリスを取り巻く厳しい状況を経験した14年間の保守党政権の末にもたらされた。

特にブレグジットはデメリットを上回るメリットがいまだ見えない中、イギリスの主要メディアは、「イギリス人はブレグジットの是非を総選挙の争点にしたくなかった」と指摘する。

結果的にブレグジットに反対だった労働党が、ブレグジットの残した負の遺産を皮肉にも受け継ぐ結果になっている。コービン前党首時代の労働党は古臭いイメージの社会主義と党内に浮上した反ユダヤ主義グループが問題視され、スターマー氏はその払拭に努め、労働党は信頼を回復した。

今回の選挙戦で、労働党は減税に言及しなかった。すでにスナク前政権下で実施していたからだ。それに、国防費の対GDP比率を現在の2.3%から2.5%に引き上げるという保守党政権と同じ政策を継承した。ウクライナ支援の堅持、党内に慎重派がいるにもかかわらず、イスラエル・ハマス戦争でイスラエル支援継続を明確に打ち出した。

ブレア氏が登場した当時の社会民主主義が衰退した時期、労働党らしい福祉政策重視の政策は財政難で打ち出せなかったため、当時の前保守党政権の政策の多くが踏襲された。今回もスターマー氏は経済成長の必要性は最優先課題として保守党から受け継ぎ、社会主義的政策を熱望する党内左派からの圧力との間で、バランスを取ることが求められる。

フランスのほうが複雑

イギリスに比べれば、フランスのほうが複雑だ。理由は中道左派の社会党を含め、社会主義イデオロギーがフランスには根強く残っているからだ。バラマキ政策で社会主義政党らしさを出したいNFPだが、国民は左派らしい政策には興味がない。左派だったオランド政権(2012-2017)で経済が停滞した記憶があるからだ。

つまり、左派の選択肢はフランスでも多くはなく、有権者の関心は、単純に生活の質を高めてくれる政党ならイデオロギーは関係ないという政治意識が主流となっている。

安部 雅延:国際ジャーナリスト(フランス在住)

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