1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

中国自動車大手が「マレーシア」に大規模生産拠点 吉利が現地企業と共同で、2035年に50万台規模

東洋経済オンライン / 2024年7月11日 19時0分

マレーシアのAHTVプロジェクトには中国政府も関心を寄せている。写真は現地を視察した金壮龍・工業情報化相(中央左側の人物、プロトンのウェブサイトより)

中国の民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)が、マレーシアに大規模な自動車工業団地を建設している。同社がマレーシアの複合企業、DRBハイコムと共同で進める「自動車ハイテクバレー(AHTV)」プロジェクトだ。

【写真】吉利が49.9%を出資するプロトンのタンジュン・マリム工場

AHTVの建設地は、マレーシア・ペラ州のタンジュン・マリム地区にある。中国政府の金壮龍・工業情報化相は、マレーシアを訪問中の6月18日に現地を視察し、吉利からプロジェクトの説明を受けた。

それによれば、2035年までにAHTVに年産50万台規模の完成車工場を建設し、そのうち50%を輸出する。さらに、年間100万台相当の自動車部品の生産能力も構築し、同じく半分を世界各地に供給する計画だ。

プロトンに出資して再建

吉利とDRBハイコムは2017年から協業関係にある。同年5月、吉利はDRBハイコムの100%子会社だったマレーシア自動車大手、プロトンの株式の49.9%を買い取り、東南アジア進出の橋頭堡を確保した。

プロトンはマレーシアの国民車メーカーとして1983年に設立されたが、2000年代に入ってから経営が徐々に傾き、吉利が資本参加する前は赤字続きだった。

そんなプロトンを立て直したのが、同社のCEO(最高経営責任者)として辣腕を振るう李春栄氏だ。中国出身で国有自動車大手の東風汽車集団の幹部だった李氏を、吉利は2017年にスカウトしてプロトンに送り込んだ。

「わが社の経営は2019年に黒字化した。販売台数も最悪期の年間6400台から、2023年には15万4000台に拡大した」。李氏は最近、メディアのインタビューに応じた際にそう胸を張った。

プロトンの再建に成功した吉利は、DRBハイコムとの協業をさらに拡大しようとしている。その中核がAHTVプロジェクトにほかならない。両社は2023年12月、AHTVの建設を担う合弁会社の設立計画に合意。ただし、吉利は合弁会社に対する出資比率を明らかにしていない。

吉利の説明によれば、同社はプロトンの既存事業をベースに生産能力を増強することで、AHTVの建設と運営を担っていく。一方、DRBハイコムは主に開発用地の確保やインフラ整備を担当するという。

将来はAHTVの生産能力を活用し、海外の(タイ、インドネシア、オーストラリアなどの)右ハンドル市場にプロトン車を輸出する。また、吉利の傘下にある複数ブランドの車種をAHTVで生産することも検討中だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください