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VWが「初代ゴルフGTI」を今も大切にし続ける訳 ゴルフ50周年イベントで滲ませたストーリー

東洋経済オンライン / 2024年7月11日 10時0分

走りを一言でいうと「48年前に発表されたクルマとは思えない」というもの。たしかに、先述したとおり、900kgに満たない軽い車重に対して82kW(112ps)の最高出力は十分なのだ。

今のドイツの市街地で流れに乗って走らせても、十分に速い。アウトバーンの追い越し車線にどのぐらい長くいられるかはわからないけれど、古いクルマを操縦している印象はほぼ皆無だった。

ハンドルを操舵するには、力が必要だけれど(それでも肩を入れて回すほどのことはなかった)、切りはじめのタイミングさえ覚えてしまえば、気持ちよく連続するコーナーを回っていける。

シートは、サイドサポートが少し張りだしたスポーティな形状だけれど、ドライビングポジションは標準モデルと変わらない。ダッシュボードは低く、運転席から遠くまで見通せるのも、高めの速度で走るときの助けになる。

クラッチは比較的軽く、下でつながるようになっているので、床まで踏み切る必要がある。これはややかったるいが、しかたない。

ゴルフボール型のノブを操るギアのシフト感はすこしトラベルが長いけれど、ゲートは明確でシフトミスすることなく操作できる。

エンジンは軽快な感じで回り、速度の上がり方も1976年に発売されたクルマとは思えないほど鋭い。

ただし、アクセルペダルとブレーキペダルの位置関係のせいで、つま先でブレーキペダルを押しながら、かかとでアクセルペダルをあおる、いわゆる“ヒール&トー”はやりづらい。そこで私は、当時の量産車のように、ダブルクラッチを使ってシフトダウンをした。

2024年6月のドイツは暑くて、エアコンがないのはややつらかった。でも、1970年代の日本だって、夏は暑かった。こんなところでも、当時を思い出す。

ちなみに、ヤナセが売っていたGTIではないゴルフにはエアコンがついていたが、冷却能力は“いまひとつ”だった。

50周年の今、伝えたかったこと

「ゴルフはとにかく退屈しないクルマ」。冒頭で紹介した、シェファーCEOはそう言う。

今回の50周年記念イベント会場では、最高出力が10kW上がって245kW(333ps)となった、最新の「ゴルフR」が公開されていた。「R」は、2.0リッターターボエンジンを搭載し、全輪を駆動する、最強のゴルフだ。

「世界最速の量産フォルクスワーゲン車」とうたわれ、さらに「Rパフォーマンスパッケージ」を装着すると、最高速度が時速250キロから270キロになるという。

この新型Rの展示で、フォルクスワーゲン、その中でもゴルフは「決しておとなしいクルマじゃないのだ」という主張が、よく伝わってきた。

まもなく、現行ゴルフ(ゴルフ8)にマイナーチェンジが施されるという噂もある。「開発の背後にある情熱を伝えていくことは、プロダクトの寿命を延ばしていくためにも重要なことである」と、今回のゴルフ50周年記念イベントでよくわかった。

1976年に登場した初代GTIをはじめ、歴代モデル、あるいは全輪駆動のRシリーズ、さらにはモータースポーツ用モデル……と、さまざまな歴代ゴルフが、フォルクスワーゲンの未来へとつながっている。そのストーリーの作り方は、見事だと感じられた。

【写真】元祖ホットハッチ「初代ゴルフGTI」を見る

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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