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ビジネス界が「選択的夫婦別姓」を政府に求めた訳 経団連は政策提言も、個々の企業は足並みそろわず?

東洋経済オンライン / 2024年7月11日 8時10分

1つ目は、経営陣からの抑圧です。女性活躍推進部署の担当者のコメントです。

「この問題を経営会議で取り上げようとしたところ、経営層からストップがかかりました。色々な政治的立場の社員がいるので、無用な対立を起こさないように、ということのようです」(素材)

2つ目は、導入に前向きな女性への男性からの反感です。人事部門の男性のコメントです。

「当社では、実際にたいして問題が起こっていないのに、(女性主体の)ダイバーシティ部門がやたらとこの問題を騒ぎ立てています。女性が社内での地位向上を目指し、男性経営陣を批判する材料にしているようで、素直に議論に参加しようという気にはなれません」(物流)

3つ目に、導入に後ろ向きな男性への女性からの反感です。ダイバーシティ推進部署の女性のコメントです。

「ダイバーシティを扱うわが部署ですら、男性の管理職は『余計なことを考えるな』という姿勢です。経営陣も含め男性は、ダイバーシティ関連のすべての問題を『鬱陶しい、面倒くさい』としか思っていません」(食品)

自民党は、2021年に選択的夫婦別姓に関する意見集約に向けた作業チームを立ち上げましたが、3年間作業を中断していました。経団連の提言を受けて、作業チームを再開します。1990年代から棚晒しになっていたこの問題が、ようやく動き出しそうです。

ただ、そもそも、国連から夫婦別姓を認めない日本の民法規定を撤廃するよう何度も勧告を受け、足元の経団連からの提言でようやく重い腰を上げるという政治プロセスで、本当に良いのでしょうか。

日本では、政府も、企業も、個人も、問題解決の進め方に次のような致命的な欠陥があるように思います。

問題解決の進め方に致命的な欠陥

① 事態が深刻化するまで問題に対応しない

問題の悪影響がまだ軽微・局所的なうちは手を打たず、いよいよ追い込まれて重い腰を上げます。先手を打って問題に対応するということをしません。

② 対立を生む問題を避ける

立場や主義・信条の違いなどで対立を生む(生みそうな)問題を放置します。解決に取り組む場合でも、対立を激化させない範囲で無難に対処しようとします。

③ 関係者を巻き込んで解決しようとしない

解決に取り組む際、広く関係者の知恵を結集しようとしません。とくに意見が対立する問題では、双方の良い点を融合させようとせず、「どちらにするか」という選択に終始します。

地球環境問題・台湾有事・人口減少といった問題に直面する政府が、グローバル競争に直面する企業が、こうした問題解決の進め方で良いわけがありません。政府も、企業も、そして私たち国民も、問題解決の進め方を抜本的に改革する必要がありそうです。

日沖 健:経営コンサルタント

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