1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

公立高校の校長「現場と自治体の間」で揺れる苦悩 人手不足の中、問題行為起こした先生の対応も

東洋経済オンライン / 2024年7月11日 8時30分

「生徒のことを思うと教壇に立たせたり、指導をお願いすることはできません。でも、クビにすることもできないから、どのように扱えばよいのか日々頭を悩ませています。その先生の代わりに教壇に立って指導してくれる先生を探しますが、今度は新しい先生がが見つからない、見つかっても指導しなければならなく、負担感が増しています」

「うち以外のある(中堅)学校では、服務事故を起こした先生に出勤はしてもらうけれども、生徒に見えないところで別の部屋に入って、何らかの作業をしてもらうところもあるようです」と続ける細川先生。

どの中堅校でも対応に苦慮していますが、この状況が起きてしまっている要因は、公募のシステムにあるのでは、と細川先生は考えています。

「公募校では、各都道府県が重点的に施策を推進します。そのため、一定の上位層の学校や特色のある学校が公募校となるケースが多いです。そうなると、そのほかの学校では、それ以外の教員で人事配置をすることになるケースもあり、人材確保の際にすでに差が生じてしまいます。

人材育成を積極的にするようにと言われていますが、意識改革もそう簡単ではありません。ただ、その中でもやる気があって、頑張ろうとしてくれる教員もいるので、そういった方がわが校に入ってくれると心強く感じています」

人材難を防ぐ方法として、細川先生の学校では、繁忙期や職員に欠員が生じた際などに任用する非常勤公務員の「会計年度任用職員」に頼っています。しかし、その職員たちの評価や契約更新の作業にも、時間を割かなければいけません。

「うちの学校では、学校図書館司書や部活動指導員などを会計年度任用職員の方にお願いしており、現在は16人の方にお世話になっています。ですが、16人のすべての仕事を評価して、1年ずつ契約更新する作業には、とても時間を使います。その大変な仕事を、わが校では副校長先生がやってくださっているのですが、ただでさえ副校長先生は他の膨大な業務に追われています」

一方で、人手が足りない学校現場の中で、細川先生はこうした「外部からの人材に頼ること」に一縷の望みも、見出しているようです。

「学校外から来ていただくことで、確実に生徒が前向きになりましたし、われわれ教員にとっても、吸収させていただくことがとても多くなったと感じています。

大学教授の方に講演していただいたときは、1回の講義を受けただけで生徒たちの姿勢が大きく変化しているように感じました。今後は生徒や教員を含めて、内部にいる人たちに刺激を与える活動を進めていきたいですね。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください