統廃合から「軽量化」へと変わる3メガの店舗戦略 みずほ銀行は店舗の4割をコンサル特化型へ
東洋経済オンライン / 2024年7月11日 7時30分
東京北西部の玄関口「池袋」。みずほ銀行は今年、池袋駅西口に「口座開設」専門の店舗を開業した。文字通り、銀行口座の開設業務のみを担い、振込業務など「現金」の取り扱いは行わない。“キャッシュレス”ゆえ、店内は銀行店舗とは思えないほど簡素だ。
「池袋を通勤ルートとするビジネスパーソンや、周辺の大学、専門学校に通う学生など特に10代、20代の来店が多い」。池袋口座開設ショップの吉田さゆり所長は話す。運転免許証やマイナンバーカードを持たない人はインターネットでの口座開設が難しく、今も実店舗の需要は根強くあるという。
「軽量店」がじわり登場
みずほ銀行を含む3メガバンクは、経費削減策の一環として店舗統廃合を推進してきた。江戸川大学の杉山敏啓教授の調査によれば、ピーク時の2010年代に各メガバンクで700~1000店超あった店舗は、2023年時点で300店台にまで減少した。
だが、足もとでは近隣店舗の集約による削減にも限界が見えてきた。そこで各行は、これまでの削減から、機能を絞り込んだ「軽量店」の展開に舵を切る。住宅ローンや金融商品の販売などに特化した「個人店」はもともと存在していたが、提供するサービスをさらに限定することで店舗の維持費を抑制する狙いだ。
池袋口座開設ショップはその一例で、通常の個人店と比較すると、年間の店舗維持コストは数千万円から1億円程度削減される。加えて、既存の個人店である「ライフデザインプラザ」全129店舗も、順次軽量化を進める。これはみずほ銀行が抱える店舗の約4割に相当する。
みずほ銀行以外のメガバンクも軽量店の展開に着手する。「従来の銀行店舗のように、取引をするためにわざわざ行く場所ではない。日常的に使うスマートフォンで銀行サービスが利用できる」。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は力を込める。
同社は昨年3月、銀行、証券、カード、保険などの個人向け金融取引を集約したスーパーアプリ「オリーブ」を開始した。オリーブの拡販を掲げる同社は、約400存在する店舗の6割程度をアプリ利用の相談や手続きに特化した軽量店への転換を進める。
店舗戦略は「量」から「質」へ
さらに傘下の三井住友銀行は5月、スターバックスコーヒーとシェアラウンジを併設した店舗「オリーブラウンジ渋谷」を開業した。渋谷支店を大幅に改装し、1階の大半は共用エリアに、2階はシェアラウンジに生まれ変わった。銀行窓口は1階の隅で細々と営業するのみだ。東京・下高井戸や大阪・香里にも、同様のラウンジを設ける予定だ。
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