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子どもの「やばい」「えぐい」の多用で失われるもの 「言い換える力」強化のため親にできることとは

東洋経済オンライン / 2024年7月12日 16時30分

人は言葉を得ることで、何らかの概念や感情を「見える化」しています。言葉を知らないということは、複雑なことがらを理解したり、ものごとを掘り下げて考えたりするためのツールを持たないということでもあるのです。

日本語として成立した時期には諸説ありますが、「哲学」「理想」「社会」「自由」などは明治時代に作られた言葉だとされています。

「哲学」という言葉ができる前は、何かモヤモヤと考えていることはあっても、それを表す言葉がありませんでした。そのため「哲学」という概念を持つこともなかったわけです。

ボールを打って守ってというゲームが「野球」と名付けられたのも明治時代です。それ以前の日本人は野球を楽しむどころか、その存在すら知らなかったでしょう。

言葉の引き出しがたくさんあると、ものごとを正確に伝えられますし、思考を深めることもできます。それは、気持ちの安定にもつながります。

自分の意見や感情を適切な言葉で伝えられないのは、大きなストレスです。なんだか苦しい・なんとなくモヤモヤしているけれど、それを言い表す言葉が見つからない。「やばい」では伝えきれない思いが積み重なっていくのは、心の負担です。

私自身は子どものころからたくさんの言葉にふれてきて、あまりそういうストレスを感じることがありませんでした。伝えたいことを正しく伝えられれば気持ちが晴れ晴れするし、人に誤解されることも少ない。結果的に信頼されることが多くなり、成長過程の私の自信になってくれたように思います。

語彙力は自己肯定感を高めるうえに、大人になってもずっと使える強い武器なのです。

語彙力アップのために読書習慣をつける

では、子どもの語彙力を高めるために、親としてできることは何でしょうか。

ひとつは、やはり本を読む環境を整えてあげてほしいということです。日常会話で使う言葉が500ぐらいですむとしたら、本には5万語ぐらいの言葉があります。本を読まないと手に入らない言葉が、たくさんあるのです。

本を読む習慣をつけるには、子どもに「本はおもしろい!」と思わせることです。親はつい、名作とされる著名な作品を読ませたくなりますが、子どもがワクワクしなければ読書の意味はありません。

極端なことを言えば、入り口はマンガでもいいのです。複雑なストーリーや、人の心の機微にふれるようなマンガはたくさんあります。まずはそういうものからトライして、徐々に文字の本にも親しんでいけるといいと思います。

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