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サイゼリヤ、優待の「突如廃止」を私が支持する理由 株主から悲鳴続出も、そもそも日本特有の制度だ

東洋経済オンライン / 2024年7月12日 17時20分

サイゼリヤが株主優待廃止を発表した(写真:西村尚己/アフロ)

サイゼリヤが7月10日に株主優待廃止を発表した。SNSでは賛否が表明された。

【画像】国内店舗数はここ数年横ばいだったサイゼリヤ。優待廃止で株価はやや低下も、アジア事業に支えられて業績は堅調(3枚)

なお、結論から述べれば、当稿はサイゼリヤの株主優待廃止を賛成するものだ。私はかねて株主優待を批判的に見ていたので、同社の決定は正しいと考える。

現行の優待制度の内容

ところで、同社の株主優待の内容は次のとおりだった。細かな条件を抜きに説明する。

・100株以上を保有する株主に『食事券』2000円分
・500株以上を保有する株主に『食事券』1万円分
・1000株以上を保有する株主に『食事券』2万円分

これを実施済の昨年をもって廃止とするとした。だから、短期的な食事券の取得を狙っている層からすれば衝撃的だっただろうし、落胆を招いただろう。

同社の発表によると、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、慎重に協議した結果、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました。今後も(中略)企業価値の向上に取り組んでまいります」とした。このアナウンスは株主観点からしても正しいといえる。これは後述する。

【画像】国内店舗数はここ数年横ばいだったサイゼリヤ。優待廃止で株価はやや低下も、アジア事業に支えられて業績は堅調(3枚)

なお、同社は同時に「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」も発表している。「直近の業績動向や財政状態、将来の事業展開等を総合的に勘案した結果、1株当たりの配当金を7円増配し、25円に修正することといたしました」として、前回発表予想の18円から今回修正として25円と増配を発表した。

しかし、この増配幅では、持ち株数によっては利益率としては食事券が有利だと判断したため、SNSでは批判コメントが多く見られた。

実際に、株価が下落したとする報道もあった。ただし、原稿の執筆時点(2024年7月11日)ではふたたび回復しており、中長期的に確認しなければならないだろう。一部、株主優待の廃止にたいして激怒している株主もいるようだが、激怒する必要はない、というのが私の考えだ。

サイゼリヤの業績

ところで論を進める前提として、同社の業績を見てみよう。

2024年8月期第3四半期で、売上高1633億円、営業利益101億円だ。実に営業利益は前年同四半期にたいして182%も伸びている。しかも通期でも売上高、営業利益ともに増収増益を狙う。

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