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タクシー界が注目する「電脳交通」とは何者か? ブレイクスルーを目論む徳島発のベンチャー

東洋経済オンライン / 2024年7月13日 14時0分

ベンチャー企業らしいオシャレな雰囲気の徳島本社、配車センター

いま、全国各地の地域交通に携わる人たちの間で、株式会社電脳交通というベンチャーが話題にのぼることが増えている。

【写真】徳島発のベンチャーがタクシー業界のみならず地域交通のブレイクスルーを目指している

電脳交通は、2015年に徳島で創業し、タクシー・ハイヤーにおける事業者間(B2B)の新規事業を軸足として、地域交通の抜本的な変革を目指す野心的な企業だ。

ミッションとして「タクシーのDXを推進し地域交通を支え続ける」を掲げる。DXとは、デジタルトランスフォーメーションを指す。

取材した2024年6月中旬時点で、従業員はパートタイムなどを含めて約200人。徳島本社にその約半数が従事し、東京支社があるほか、営業活動とカスタマーケアのために全国各地にリモートオフィスを構える。

また、徳島、福岡、岡山に配車センターを置き、合計で約90名のオペレーターが24時間体制で全国各地のタクシーユーザーにサービスを提供しており、ベンチャーといっても規模は大きい。

この電脳交通が注目されている理由は、いくつかある。

まずは、主力事業であるクラウド型タクシー配車システム「DS」における「現場目線」での開発と、DSを社会実装したあとのきめ細かなカスタマーケアだ。

DSは毎年150%ペースで普及が進んでおり、47都道府県で約500社が導入しているという急成長ぶり。

タクシーのDXというと、スマートフォンアプリを使った、利用者と事業者をつなぐB2C型のビジネスモデルを思い浮かべる人が多いだろう。最近はそこに、ライドシェアが絡む。

一方、B2B型のシステムもあり、複数のIT関連企業などが社会実装している。その中で電脳交通の強みは、「徳島のタクシー会社発」という事業者としての当事者意識と現場目線にある。

債務超過の家業を引き継いで

電脳交通のルーツは、創業者で最高経営責任者の近藤洋祐氏の祖父が徳島で経営していた、吉野川タクシーにある。

近藤氏は5年間タクシードライバーとして従事したあと、2012年に経営を引き継ぐ。このとき吉野川タクシーは、債務超過寸前の状態だったという。

そうした、家業を下地とした事業環境の変革が、電脳交通のファーストステージ。ここから、地方の高齢タクシードライバーや事業者にとってのDXへのハードルを、少しずつていねいに下げていったのだ。

近藤氏は現場の声を重視し、年に約1000回ものシステムや機能のアップデートを行うことで、事業者の信頼を得てきた。実績として、大手事業者の配車室の人件費を1/3に削減し、そのうえで配車効率を2倍にした事例がある。

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