ソニー、パラマウント買収ならず業界が安堵の訳 買収合戦に競り勝った41歳大学中退男の正体とは?
東洋経済オンライン / 2024年7月13日 12時0分
ハリウッドをさんざん振り回してきた案件が、ようやく落ち着いた。巨大マスメディア・エンターテインメント企業であるパラマウント・グローバルが、映画制作会社のスカイダンス・メディアに買収されることになったのだ。
【写真を見る】弱冠41歳でメジャー映画スタジオのトップに立ったデビッド・エリソン
パラマウント・グローバルは、パラマウント・ピクチャーズやメジャーネットワークのCBS、MTV、配信プラットホームParamount+などを抱える。映画においては、112年の歴史を誇り、『ティファニーで朝食を』、『ある愛の詩』、『ゴッドファーザー』、『チャイナタウン』、『トップガン』など数々のヒット作を送り出してきた。
一時はソニーも買収を目論んでいた
一方、近年は大きな負債を抱え、ラインナップも薄く、メジャー映画スタジオの中でも競争力が落ちていた。そんな彼らに狙いを定める人々は少なくなく、メディア業界の大物バイロン・アレンは昨年から買収を打診していたし、一時はライバルスタジオであるワーナー・ブラザース・ディスカバリーも合併についての話し合いを持っている。
今年春には、日本のソニーも、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントと組んで買収オファーをしたと報じられた。つまり、パラマウントの買収は「あるのかないのか」ではなく、「いつ、どこに決まるのか」という状況だったのだ。
結局、最初から優勢と見られていたスカイダンスに決まったことに、業界の多くの人々は安堵を感じている。業界人にとって一番の懸念は、もしソニーが買収したら、ハリウッドにおけるメジャースタジオがひとつ減ってしまうことだった。
それはつまりトータルでの製作本数やアイデアの売り込み先が減ること、そして大規模なレイオフを意味する。また、スカイダンスはパラマウントと製作パートナー契約をし、最近の『ターミネーター』や『ミッション:インポッシブル』、『トップガン マーヴェリック』を製作してきたことから、ジェームズ・キャメロンをはじめとする大物業界人の間からも、スカイダンスを支持する声が聞かれていた。
CBSの問題も大きい。ソニーは日本企業なので、アメリカのメジャーネットワークを所有することはできない。もちろんソニーとアポロもそこは最初から認識しており、CBSに関してはアポロが所有する計画だったが、パラマウントの会長シャリ・レッドストーンは、父が築いた巨大なメディアカンパニーを分割するのは理想的でないと考えていたようだ。
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