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認知症の父が母の介護ベッドを壊すほど怒った訳 「すぐキレる」症状にどんな言葉掛けが必要か?

東洋経済オンライン / 2024年7月14日 8時50分

どんな対応がいいのか?

冒頭のAさんは相談されたことを忘れて、リビングにベッドを置かれたことに怒っていましたよね。

この場合、どんな対応がよいのか例を挙げてみると、記憶がない本人に対し、「ベッドをここに置くって言ったよね?」「覚えてないの?」などと言うのは、火に油を注ぐ事態になってしまうので、避けたいところ。

まずは「どうしたの?」「何で怒ってるの?」と、何が不満でイライラしているのか、話を聞くこと。実際、Aさんに「どうしたの?」と聞いてみると、「だってベッドがなぜこんな場所にあるのか、わからないんだ」と説明を始めました。

そのときは本人の言葉を否定せず、「ああ、そうだったんだね」「びっくりしちゃったよね」と、寄り添うひとことを言えたら、本人は穏やかさを取り戻せることも多いのです。

同じ質問を何度も聞かれたとしても、「だからさっき言ったでしょ」と突き放さず、「そうなんだね」と共感する。そうした言葉がけ1つで困った行動が落ち着いたり、怒りっぽさが軽減されたりすることがあります。

「言ったよね?」と言いたくなる気持ちもわかりますが、本人や家族が穏やかに日常生活を過ごすためにも、そのひとことをぐっと飲み込んで、寄り添う姿勢を忘れないように努めてほしいです。

認知症はわかりにくい病気

認知症は、症状が進行していても、会話が普通に成り立つ場合も多く、はたから見るとわかりづらいこともある病気です。

子どもからしたら、親の認知機能が落ちているのを認めたくない気持ちも働き、「うちの親に限ってボケることはない」と、都合のいい解釈をしてしまいがちです。

年齢とともに記憶力が低下するのは、誰しもに起こる老いの変化の1つ。「あれ?」と思ったら、前出の地域包括支援センターで相談してもいいですし、かかりつけ医がいたら、そこに相談するのもいいと思います。

記憶力は落ちていても、適切な薬の服用や言葉がけによって、穏やかに暮らすことはできます。

また地域包括支援センターや医療機関のみならず、認知症カフェや地域でのコミュニティなど、同じような悩みを抱えている本人や家族が交流し、支え合えるような場も広がっています。

家族だけで抱えこまないで、ぜひ相談してほしいと思います。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄:向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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