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株価がここにきて大きく上昇している背景事情 東証市場改革は日本企業を変える大きなキッカケ

東洋経済オンライン / 2024年7月15日 7時0分

この点、新しい3つの市場区分の趣旨はわかりやすくなっています。まず、プライム市場はグローバル基準のガバナンスを備えた企業が対象とされます。ガバナンスとは「組織的に不正や不祥事を未然に防いで、企業価値を高めるための取り組みがされていること」を指します。

なかなか企業の不祥事のニュースは後を絶ちませんが、防ぐための組織的な取り組みが国際基準を満たしている企業が対象ということです。スタンダード市場も、もちろんガバナンスは重要ですが「一定の範囲を満たすこと」が条件となります。そして、グロース市場は新興企業などの成長企業のための市場となります。

企業価値を向上させる動機付けにならなかった

3市場区分の移行への2つ目の理由は、昔の区分は、一旦、上場したら、その上場を続けていくための基準が緩かったという問題への対応です。例えば、昔の東証1部に新規上場するには会社の収益面でのハードルとして「過去1年間の利益額が4億円以上、あるいは売上高が100億円以上」が必要でした。しかし上場の維持には「利益の大きさ」のハードルはなくなり「連続して3年連続赤字になっていない」に変わります。

これでは企業は利益を高めなくても、東証1部に上場しているという一定の信用が得られてしまうので経営者側の危機感が高められません。企業価値を向上させる動機付けにならなかったという問題がありました。現在のプライム市場の「過去2年間の利益の合計が25億円以上、あるいは売上高が100億円以上」という条件は新規上場でも上場維持でも同じに設定されています。

こうした市場区分の変更からも影響を受けた東証の改革の2つ目の柱と見られているのは、TOPIX(東証株価指数)の見直しです。昔の区分の時代、TOPIXは東証1部に上場している全企業を対象に、その株価の変動を反映する株価指数でした。ところで、株価指数で最もよく知られるのが日経平均株価です。しかし、日本株の投資信託で使われているパフォーマンス目標の基準の多くはTOPIXが用いられます。

これにはさまざまな理由がありますが、大きな理由として日経平均株価には時価総額(株価×株式数)の観点が入っていないということです。TOPIXは日本を代表する企業の時価総額合計の推移が反映されています。投信のパフォーマンスがTOPIXを上回ることを目標とされる趣旨は、日本を代表する企業全体の時価総額の変動よりも、パフォーマンスが勝ってほしいということです。

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