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工学系出身者が「先進国最低レベル」日本の"暗雲" エンジニアを育てられない国が抱える大問題

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 17時0分

日本のエンジニアを取り巻く実情とは(写真:78create/PIXTA)

日本のIT業界で深刻化するエンジニア不足。新型コロナウイルスの影響で採用方針が変化し、即戦力となる経験者の獲得競争が激化している。一方で、中小企業は条件面で大手に後れを取り、人材確保に苦戦。さらに、育成した人材の流出や教育制度の不備など、複合的な問題が山積みとなっている。

日本のIT競争力向上のカギを握るエンジニア採用と育成の現状に迫る(『エンジニアリソース革命』より抜粋してお届けします)。

日本のエンジニアを取り巻く実情

まず日本のエンジニア採用の状況をより深く分析してみましょう。

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2020年初頭からの新型コロナウイルスの流行により、多くの企業が採用コストの見直しを余儀なくされました。これに伴いエンジニア採用においては、新卒や未経験者をターゲットとするのではなく、即戦力となる経験者をターゲットとする方針に変更する企業が増えています。

特に20代後半から30代前半の経験豊富なエンジニアに対しては、獲得競争が激化しています。エンジニア不足から市場価値が高まり、エンジニアの給与水準や待遇条件が向上する傾向も見られます。

この変化の中で、中小企業でもエンジニアの採用ニーズが高まっています。

しかし中小企業では、スキルの高いエンジニア経験者が望む給与や待遇を用意するのはなかなか難しく、給与や待遇の条件面で大企業や外資系企業などの競合他社に負けてしまう場面が多く見られます。

同時に中小企業においては、経営層がエンジニア採用の難易度を十分に理解していないため、雇用条件の改善が進まないという問題も見られます。

日本の企業にとって非常に深刻

こうした状況は、日本の企業にとって非常に深刻です。

優秀なエンジニアが獲得しにくい状況で、エンジニア不足は今後も深刻化すると考えられますが、今こそエンジニアの採用戦略を見直し、給与水準や待遇条件の改善、教育体制の強化など、より競争力のある採用手法への転換が求められているのです。

さらに、せっかく採用したエンジニアの流出という問題もあります。

実際に日本の企業では、新卒で入社して企業によって育成された優秀なエンジニアが、3年程度の在籍後にメガベンチャーや外資系IT企業に移るケースも少なくありません。

メガベンチャーとは、ベンチャーが成長して大きくなった企業を指し、日本ではLINEヤフー(Yahoo、LINE、PayPay、ZOZOTOWNの運営元)や楽天、サイバーエージェント、GMOインターネット、DeNA(ディー・エヌ・エー)などが代表例といえます。

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