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サンリオ「35才創業家社長」が成し遂げた大復活劇 就任4年で株価は6倍、"V字回復"を導いた舞台裏

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 8時30分

社長になってからは1年半かけて全従業員と対話する機会を設けた。そこで、どういう意味があって外部から人材を採っているのかを自分の言葉で伝えられたのは大きかった。

結果的に、昔からサンリオを支えてきてくれた人たちもいやな顔一つせず、サンリオの未来を一緒に考えてくださった。外からのものは吸収して、内部で積み重ねてきたものは外から来た人に共有するという形で、外部の方々をスムーズに引き入れてくださり、外部から来た方々がうまい形でポジションにはまってくれた。

実際に業績も伸びたので、改革をやることによって自分たちがよくなるという実感につながった。従業員の改革に対する信頼度が大きく上がり、また次の改革につながるといういいサイクルができた。

創業者の祖父に認められるまで

――物販事業は創業者である祖父の信太郎名誉会長がこだわってきた聖域ですが、アイテムを削減するなどメスを入れていきました。

大きな決断ではあった。従業員の方々も「そこに切り込むのか」と思ったかもしれない。

全国に店舗があり、店頭でものを売ることによるプロモーション効果はたしかにある。しかし、毎年赤字が続いていて直そうとしないのは絶対によくないと思っていた。赤字になっている理由は明確で、昨対売上主義で商品を作りすぎていたことだ。

専務時代には祖父とけっこうぶつかることもあった。ただ、途中ではっと我に返った。90歳を超える、これだけ長く社長をやってきた人と自分は何を言い争っているのだと。自分が正しいとずっと思い続けてもうまくいかない、理解をしてもらわないといけない。

そこから1年くらい毎日15分会話をして、出張した日でも1日1回電話をした。別に仕事の話をするわけでもなく、今日はこんなことあったよと話したり、たまにご飯を食べたり。やりたいことを織り交ぜて伝えていき、最終的には「お前のやりたいようにやってみなよ」と言ってくれた。

その後、物販事業は3年間のトータルで赤字解消を目指していたが、2年目からかなりの利益が出た。実際に売れ行きも株価もよくなり、会長からも認めていただけたと思う。

――名誉会長の理解を得られたのは何が大きかったのでしょうか。

最初にお店を作ったときの思いなどを知るために、昔の会社案内などをあさって読んでみた。すると、僕が考えていたことが1980年くらいにすでに書いてあった。お店はものを売る場所ではない、コミュニケーションをとって笑顔になってもらう場所だと。

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