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ソフトバンク元副社長が喝「老害」の無意味な悪癖 若者との仕事では「致命傷」になりかねない

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 12時30分

売る側は、とにかく買い手に迷う暇を与えず、一刻も早く契約に持ち込もうとあの手この手を使ってきますが、買い手は最後まで多くのオプションをキープして、なかなか決定しない方が交渉を有利に進められるのが普通です。

ぬらりくらりで時間を稼いでいれば、売り手は次第に焦ってきて、当初は考えていなかったような、相当大きな譲歩に踏み切る可能性もあるからです(買い手の側だって、いつまでも決定しないで済むわけはありませんから、やり手の売り手なら、そこを見抜いて、わざと断念した素振りを見せたりして揺さぶりをかけますが、一般論としては、こういう形になるのが普通なのです)。

しかし、ビジネス全般についていうなら、決定と行動のスピードは速ければ速いほど良いと、肝に銘じておいた方が良いでしょう。

時間がかかれば、それだけ「成果を出せる時期が遅れる」、つまり「利益が減少する」というだけでなく、「機会を逸する(競争相手に機会を奪われる)」という致命的な失策につながる可能性があるからです。

にもかかわらず、なぜ日本企業は諸外国から呆れられるほどに決定が遅いのでしょうか?

私の見るところ、それは日本企業に特有の、「救い難い完璧主義」にあるように思えます。「完璧主義」というと聞こえがいいですが、言い換えれば、それは「責任回避」と同義語です。

ゼロから出発してなりふり構わず成長を求めた高度成長時代と異なり、ここ30余年の日本では、「どうすれば失態をおかさず、誰からも責任を追及されないか」ということばかりが、いつも真っ先に考えられているかのようです。

いつの間に日本はこんな国になってしまったのかと、慨嘆してみてもあまり意味はありません。昭和後期の高度成長時代に多くの日本人が到達した生活水準は、そんなに悪いものではなく、人々のハングリー精神はもはや失われたのだと思います。ですから、今は、現在の生活水準を守るのに汲々としているに過ぎないのでしょう。

この過程の中で確立した日本型の経営組織の中で、「役職社員」という地位を得た人たち(つまり多くの決定権を手中にした人たち)は、危険を冒すことなくその地位を守り、その地位が自動的に約束してくれる「その次のやや上位の地位」を心待ちにしているかのようです。この人たちにとっては、スピードよりも安全の方がはるかに重要なのは、当然のことなのかもしれません。

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ですから、この人たちがその致命的な問題点に気づく前に、この人たちに「決定と行動のスピードアップ」を期待するのは、もともと無理なのだと思います。

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