星野リゾート進出で「函館の残念」が解消される? 「夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからない」
東洋経済オンライン / 2024年7月17日 12時0分
具体的な運行ルートを見ると、朝は五稜郭公園近くまでアクセスする便を2本運行する(ルート1)。日中は函館山ロープウェイ乗り場や歴史的建物が建ち並ぶ元町エリア、ショッピング施設となっている赤レンガ倉庫などのあるベイエリアを巡り(ルート2)、夜景の時刻には、函館山ロープウェイ乗り場への直行便を4本運行する(ルート3)。
現状、バス1台での運行であり、日中の循環バス(ルート2)が1時間に1本と少ないものの、これまでの交通手段の不便な部分を補完するという意味では画期的なサービスといえる。
こうした新たな交通手段を開設するには苦労が多いと聞くが、「函館ぐるぐるフリーバス」の場合はどうだったのか。OMO5函館総支配人の中村光一朗さんに話を聞いた。
「当社のバスは路線バスではなく、観光バスの扱い。停車する場所(乗降場)に関しては、公安委員会と土地所有者の許可を得れば停車できるが、市役所や函館バスなど地元の交通事業者にも相談しながら、路線を決めていった。乗降場の確保で大変だったのは、桜の季節や祭りの時期に非常に混雑する五稜郭エリアだ。通常、観光バスが停車する駐車場には、常に止められるとは限らないと言われたので、五稜郭公園近くのコンビニと交渉し、同店の駐車場に止めさせていただくことになった」
さらにサービス開始後も、運転手の人件費や、車両のメンテナンスなど含め、相当な費用がかかると思われるが、無料サービスとして提供し続けられるのだろうか。
「運行費用は、ホテル全体の売り上げから捻出することになるが、(総客室数245室の中規模施設ということもあり)お客様1人あたりのご負担額はそれほどにはならないと試算している。また、ストレスフリーな観光という価値あるサービスを提供することで、旅行満足度の向上にもつながると考えている。将来的には、ただバスを走らせるだけでなく、ガイドを付けたり、知られざるおすすめスポットにご案内するなど、より付加価値を高めていきたい」
函館の夜、どう過ごす?
次に、いわゆるナイトタイムエコノミーも、函館の観光課題といえる。函館山の夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからないといった声を聞くほか、ベイエリアのショップやレストランが19時に閉店した後は、チェーン系のカフェが人であふれる。
だが、知られていないだけで、行くところへ行けば遅くまで営業している店もじつは多いと、中村さんは言う。
「函館駅の近くであれば、地元の人に愛される店が軒を連ねる『大門横丁』がある。同横丁には網元直営の新鮮で旬な魚介を食べられる居酒屋など、穴場の店が多い。また、函館の繁華街のうち、函館駅周辺と五稜郭周辺を比較すると、五稜郭周辺のほうが深夜まで営業している店が多い。現状、こうした情報が、きちんと発信されていない」
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