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中小企業の輸出が日本経済「最大の伸び代」である 輸出が途上国より少ない「構造的要因」排除せよ

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 8時20分

日本の中小企業の輸出を「先進国平均」レベルに増やせば、GDPを6%押し上げるほどの効果が得られる、といいます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の著書『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』では、日本人の給料を上げるための方法が詳しく解説されている。

「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」

そう語るアトキンソン氏に、これからの日本に必要なことを解説してもらう。

現在の円安は「輸出を増やす」最大のチャンス

円安が続く中、日本企業にとって輸出を増やす絶好の機会が訪れています。

【グラフ】日本の中小企業は、国際的に比較してきわめて輸出が少ない

多くの人は日本を輸出大国と考えがちですが、これは誤解です。実際、日本はかつて貿易黒字の大国でしたが、その主な原因は輸入額が少なかっただけであり、日本が輸出大国であったことを意味するものではありません。

事実、世界銀行がまとめた2022年の対GDP輸出比率ランキングでは、日本は153位です。先進国の中で日本より低いのは、日本より国内市場が非常に大きいアメリカだけです。

しかし、アメリカは1人当たりGDPが日本の1.6倍もあります。その違いを考慮すると、日本は先進国の中で、対GDP輸出比率ランキングが最下位と位置づけても問題ないと思います。

日本の対GDP輸出比率は21.6%で、先進国の平均33.9%、EUの56.3%、さらには途上国の22.6%よりも低いのです。

確かに、内閣府のデータによると、GDPに占める輸出は1994年度の8.8%から18.8%まで増加していますが、円安を活かせば、さらに輸出を増やすことが可能です。

「中小企業の輸出」が最大の伸び代

その伸び代が最も大きいのは、中小企業です。

内閣府のデータによると、2020年度において、大企業の輸出額は全体の輸出額の92.7%を占め、中小企業はわずか7.3%にすぎません。輸出企業数を見ると、大企業は32.6%、中小企業は67.4%です。大企業の28.3%が輸出を行っているのに対し、中小企業は21.2%で、時系列で見てもその比率はあまり向上していません。

諸外国と比べて、日本の中小企業には大きな成長の余地があります。OECDの報告(Facilitating SMEs Access to International Markets, 2004)によると、OECDの中小企業は輸出の約3割を占めていますが、日本ではわずか7.3%です。

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