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リポビタンD「時代錯誤CMで炎上」に見る栄枯盛衰 "女人禁制"からの方向転換が問題表現に?【後編】

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 12時0分

電車内に掲載されていた大正製薬「リポビタンD」の広告(編集部撮影)

大正製薬「リポビタンD」が、時代錯誤な広告で炎上した……。

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筋肉隆々の男2人が「ファイト、一発!」と叫ぶCMでおなじみのリポビタンDが、CMで大きな変化を遂げている。 今年の6月から、妻夫木聡と木南晴夏が広告に起用されるようになり、一気に「さわやか」なイメージとなったのだ。

しかし、急な方向転換が良くなかったのか、電車内などに貼られている同商品の広告の、木南の側に添えられた「仕事、育児、家事。3人自分が欲しくないですか?」というコピーに苦情が殺到した。要は「仕事、育児、家事を女性に押し付けていて、男性は家のことをなにもしないじゃないか」と、性別役割分業意識が問題視されたというのだ(以上、「ねとらぼ」等の報道による)。

この事案について、本稿では「栄養ドリンクのCM表現の変遷」という観点から、「なぜあのような時代錯誤なCM(厳密には電車広告)になってしまったのか?」を分析していきたい。

バブルでいよいよ極端になった栄養ドリンクCM

前編の記事ー「リポビタンD炎上」背後に"男らしさ"の負の遺産 "女人禁制"からの急な方向転換が原因かーで説明したように、リポビタンDや競合商品である第一三共ヘルスケア「リゲイン」の登場もあり、80年代後半にはすっかり「栄養ドリンク=サラリーマンのお供」というイメージが定着していた。

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だが、そもそもこの時期の栄養ドリンクCMは社会に与えた影響が大きく、例えば佐藤製薬「ユンケル黄帝液」の1988年のCMでは、アシカとじゃれ合うタモリの「ユンケルンバ ガンバルンバ」というフレーズが、その年の新語・流行語大賞の「特別賞・人語一体傑作賞」を受賞している。

さらに、同年の大衆賞は高田純次が出演した中外製薬(当時)の「グロンサン」のCMから生まれた「5時から男」だった。これは当時、ほとんどの企業が17時には上がれたため、「仕事が終わったから本気で遊びに行こう!」ということを意味するのだが、流行語大賞に2つも栄養ドリンクのCMのキャッチコピーが選ばれたのだ。

そんな「ユンケルンバ ガンバルンバ」と「5時から男」から、「24時間戦えますか?」に栄養ドリンクのキャッチコピーが移り変わるまで、わずか1年。バブルの絶頂期は1989年といわれているため、その間に社会は相当切羽詰まったのだろう。17時から遊んだり、ガンバルンバと言っている場合ではなくなったのだ。

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