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81歳のバイデン大統領が左派にたたかれ続ける訳 ネタニヤフ首相と犬猿の仲、股裂き状態

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 19時0分

第四次中東戦争の奇襲攻撃との類似性を指摘する報道がありました。しかしエジプトとシリアの両国軍が1973年に攻撃したのはイスラエルの国軍です。一般住民ではありません。

民間人の無差別大量殺人は「テロ」です。「ネコはネコと呼べ(Call a cat a cat.)ということわざがあります。ネコはトラでもネズミでもなくネコ。市民の虐殺は「英雄的行為」ではなくテロです。「植民地解放」といった「目的」がテロという「手段」を正当化することはできません。国際人道法は「戦争への正義」である開戦原因の是非と別に、戦争の手段・方法の合法性を厳しく問います。文民と戦闘員の区別は「戦争における正義」の有無を判断する際の最も重要な基準です。

大規模な報復攻撃に出れば、ガザの住民が犠牲になるのは確実でした。国際社会の反イスラエル感情をかきたてたいハマスの罠にはまります。人質解放を優先し、2011年の先例にならってパレスチナ人服役囚の全員釈放を求める声も上がりました。

ネタニヤフは「ハマス壊滅」を掲げて直ちにガザを激しく空爆し、やがて地上部隊を侵攻させました。学校や病院もハマスが軍事利用していると主張し、容赦なく攻撃しました。ガザ住民約220万人のうち約170万人が家を追われ南部に逃れました。住民の死者が恐ろしい勢いで増え続け、2024年5月下旬、パレスチナ保健省の発表で3万6000人を超えました。

世界のイスラム教徒約19億人はパレスチナに同情的です。「グローバルサウス」と呼ばれる諸国の多くはインドを除き、大半がパレスチナ寄りです。「国際世論」ではイスラエルとアメリカは多勢に無勢です。多くの女性や乳幼児まで犠牲になる事態に、当初はイスラエルに同情的だった欧米の世論も変化しました。

米大学で若者がイスラエルとバイデンに抗議

バイデン米大統領はハマスの大規模テロに対するイスラエルの「自衛権行使」を容認し、武器、弾薬を大量に供給しました。事件後すぐイスラエルを訪問しました。バイデンがネタニヤフとハグした映像を見て勘違いした人もいたようです。ふたりは犬猿の仲です。バイデンは耳元で「ここまでしてやってるんだから、少しはオレのいうことを聞けよ!」とささやいたかもしれません。

バイデン政権は当初からガザの民間人犠牲者の増大を心配していました。ハマスが立てこもる地下トンネルの規模と精巧さから、ネタニヤフが掲げる「壊滅」の困難さを見通していました。イスラエルに軍の大半をガザから撤退させ、標的を絞った精密攻撃主体に移行するよう働きかけていました。ネタニヤフは聴く耳を持ちませんでした。

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