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81歳のバイデン大統領が左派にたたかれ続ける訳 ネタニヤフ首相と犬猿の仲、股裂き状態

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 19時0分

ハマス戦闘員だけではなく一般住民の犠牲者が急増するにつれ、民主党リベラル派からバイデンへの批判が強まっていきます。

2024年春、ユダヤ系の多いニューヨークのコロンビア大学をはじめ全米各地の大学で、イスラエル軍のガザ攻撃やバイデンの武器支援、大学の兵器産業への投資などに対する抗議行動が激しくなりました。ユダヤ人学生の一部も参加しました。イスラエル消滅を意味する「(ヨルダン)川から(地中)海まで」の「パレスチナ解放」を叫ぶ学生が目立ち、ハマス戦闘員の格好をする若者も現れました。指導的な活動家が「シオニスト(ユダヤ民族主義者)は生きるに値しない」とSNSに投稿し、謝罪に追い込まれました。

ユダヤ系の学生の大半は「なぜハマスのテロを批判しない」「怖くて大学へいけない」「ユダヤ人だけオンライン授業なのはおかしい」「われわれが白人だから差別してもよいのか」と反発しました。抗議の学生が学内の施設を占拠し、大学当局が警官隊に排除を要請する事態も起きました。

ネタニヤフとハマスの共倒れ望むバイデン

バイデン大統領は、ネタニヤフ首相の苛烈なガザ攻撃を止めないと、民主党の左派にたたかれ続けます。でもパレスチナ支持の左に寄り過ぎると、今度は中道派が離反し、本選挙でトランプに負けてしまいます。股裂き状態です。急進派と穏健派、理想主義者と現実主義者が対立するリベラル陣営の一種の宿痾(しゅくあ)です。

バイデンはネタニヤフに自制や一時停戦を繰り返し求めました。でも安全保障問題では米大統領の要請でも容易に受け入れないのがベギン、シャロン以来、イスラエル右派首相の流儀です。戦争が終われば、ネタニヤフはハマスの攻撃を防げなかった責任を問われます。収賄などで起訴された刑事裁判で有罪となり、収監される恐れもあります。

戦争が続けば、戦時内閣の首相を変えるのは簡単ではありません。連立内閣を維持するにはベングビール国家治安相のような極右閣僚を重視せざるをえません。極右入植者は、シャロン首相が2005年に入植地と軍事基地を撤去したガザに再入植する機会をうかがっています。

バイデン政権や欧州連合(EU)、穏健アラブ諸国、日本を含む国際社会は2国家共存案による和平を支持してきました。西岸のパレスチナ自治政府が、ガザの統治を回復してパレスチナが再びひとつになれば、希望も見えてきます。それはパレスチナ国家の独立阻止を政治的使命とするネタニヤフや右派にとって悪夢です。

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