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「生涯の相棒」を選ぶ、いつか欲しい国産万年筆 メーカーの「アイデンティティ」を持つ贅沢さ

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 9時0分

プラチナは金に比べて比重が重いため、振動しにくく、しなやかで落ち着いた書き味を生みます。軸の芸術性とほかでは味わえない書き味の両立は、唯一無二の存在感があります。

銀の軸というと、なんとなく冷たい印象がありますが、鍛金で作られているせいか、その小さな凹凸が指に優しく、持っていたいと思わせる質感です。シンプルながら、同じ軸が二つとない金属ならではの味わいがあるデザインにも、プラチナ万年筆の長い歴史を感じます。

美しい日本語を書くための万年筆作り

「長刀研ぎ(なぎなたとぎ)」は、セーラー万年筆の創業当時からあった、日本語の文字を美しく書くために作られたセーラー万年筆独自のペン先です。

製作の機械化が進み作られなくなっていた、その技術はペン職人の小山群一氏、長原宣義氏らによって継承され、1991年頃に現代の筆記事情にも合うように長原氏が改良しました。

筆とは違う、しかしスムーズかつ美しく、トメ、ハネ、ハライが書ける「長刀研ぎ」のペン先は、それだけでなく、偏を書いたあと、つくりへと向かうといった漢字の書き順にピタリとついてきてくれるため、文字をとても滑らかに書けるのです。

また、ペンを立てると細い線が、寝せると太い線が書けるので、漢字の縦横線の太さのバランスをコントロールすることもできます。

「キングプロフィット エボナイト 長刀研ぎ万年筆」は、「長刀研ぎ」を施した21金の超大型ペン先を、使っているうちに指に馴染んでくる、しっとりした肌触りの素材「エボナイト」の軸に装着した、まさに、美しい文字を書くための万年筆です。

ペン自体も大振りですが、最も万年筆の軸に向いた素材と言われるエボナイトは軽く、ペン先の書きやすさもあって、大量の筆記にも向いています。

パイロット万年筆の原点にして頂点

パイロットの「カスタム URUSHI」は、10万円前後の、実用品としての万年筆の最高級品的な位置付けの製品がラインナップになかったパイロットが、「パイロットらしい万年筆とは何か?」という原点に立ち返って開発した、パイロットの歴史と技術を集約したような万年筆です。

軸は、エボナイトを削って成形し、それを磨き、蝋色漆を塗って仕上げる、創業以来の技術「ラッカイト」を継承し、ペン先にはこの万年筆のために一から開発した、カスタム・シリーズでは最大サイズのものを採用しています。

「ラッカイト」で仕上げた軸は、パイロット伝統の漆の技術によって美術的な価値のある風合いと十分な耐久性を持ち、ペン先は、ギリギリ実用的な筆記具として使えるレベルで柔らかい、万年筆らしい万年筆になりました。

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