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14週連続で増加「手足口病」で知っておきたいこと 症状や治療法、感染対策について詳しく解説

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 10時50分

ただ、一部の患者は急性髄膜炎を合併し、重症化することがある。稀だが、急性脳炎を引き起こすこともある。エンテロウイルス71の感染が特に重症化しやすいといわれている。

1997年4~6月にマレーシアで大流行し、30人以上の死亡が報告されている。この翌年は東アジアでも手足口病が流行した。1998年2~12月には台湾で大流行し、78人の死亡が確認されている。マレーシアと台湾、いずれの流行もエンテロウイルス71が原因だ。

筆者が調べた範囲では、今回のわが国の流行に関して、感染研は流行中のウイルスの型を公表していない。

今年2~5月には台湾の新北市で手足口病が流行したが、感染者からエンテロウイルス71が検出されている。感染研は流行中の手足口病のウイルスを同定しているだろうから、このあたりの情報は公開すべきであろう。

このように書くと、手足口病を恐ろしい感染症と感じる方もいらっしゃるだろうが、あまり心配しなくていい。前述したように、ほとんどは軽症だ。手足口病に対する抗ウイルス薬は開発されておらず、治療には解熱薬や痛み止めなどを用いる。

手足口病の対策「3つのポイント」

では、手足口病とどう付き合えばいいのか。3つの点を強調したい。

1つめのポイントは、「どんなに感染対策を強化しても、手足口病の原因となるウイルスからの感染を、完全に防ぐことはできないことを認識すべき」(高橋医師)だ。

高橋医師は30年にもわたり小児科で経験を積んでいるベテランだ。長年の診療経験を通じた、彼の実感らしい。

高橋医師がこのように感じるのは、手足口病のウイルスの構造に起因する。手足口病の原因ウイルスは、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスが有するエンベロープ(ウイルス粒子を囲む膜のようなもの)を持たない。

エンベロープは脂質二重膜でできているため、アルコールやせっけんで破壊できる。だからこそインフルエンザや新型コロナの流行期には、アルコール消毒やせっけんでの手洗いが推奨される。

だが、手足口病については、このような効果は期待できない。

もちろん、一般的な感染対策として手洗いは有効だ。水流でウイルスを洗い流せるからで、筆者も手洗いの励行をおすすめしたい。また、手足口病は飛沫感染でもうつるため、マスクやうがいも一定の効果はあるだろう。

それでも、限界があることを認識しておこう。周囲に手足口病にかかった子どもがいても、それは感染対策が不十分だったためではない。感染者に落ち度はない。また、手足口病をおそれて、感染を予防するため、保育園や幼稚園を休ませたり、人混みを避ける必要はない。

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