スタバが「会社員の思いつき」から生まれた必然 成功秘話に隠された2つの重要な要素とは?
東洋経済オンライン / 2024年7月20日 16時0分
人間のアイデアとはどのようにして生まれてくるのでしょうか?
そのベースには、必ず、強い目的意識(問題解決を模索する意識)が存在している、とソフトバンク元副社長で82歳で起業した松本徹三さんは説いています。
その理由を、松本さんの新著『仕事が好きで何が悪い!』から一部抜粋して紹介します。
別世界に触れ、そこからヒントを受ける
瞬く間に世界を席巻した「スターバックス」はどうして生まれたかをご存じですか?
この会社の誕生秘話には1つの重要なヒントが含まれているので、少し紹介しておきましょう。
現在のスターバックスの前身であるイル・ジョルナーレ社を1985年に設立したハワード・シュルツは、アメリカ特有の簡便なコーヒースタンドや料理店などに、コーヒー豆とそれを挽いて焙煎する機械などを売る会社の、しがないセールスマンでした。
しかし、ある時彼はイタリアに出張を命じられました。そして、仕事の合間に、しばしばイタリア特有の「カフェバール」で時を過ごしましたが、その時生まれて初めて体験した「居心地の良さ」が忘れられず、「待てよ、アメリカには何でああいう場所がないのだろうか?」と考え始めました。
そうすると、「自分の顧客であるコーヒースタンドが、みんなあんなふうな居心地の良い場所だったら、多くのアメリカ人がもっと幸せになれるのに」という思いが抑えられなくなり、ついに現在のスターバックスの前身になる店を自ら開店する決心をするに至ったのです。
この店が大繁盛したので、あとは同じような店を各地にどんどん作っていくだけでした。
この成功秘話には、2つの重要なファクターが含まれています。
まず、ハワード・シュルツは熱心なセールスマンでした。ですから、彼はいつも「自分の顧客であるコーヒースタンドがもっと繁盛して、もっとたくさんコーヒー豆を買ってくれたら良いのになあ」という考えが頭の片隅にあり、一時もそれを忘れることがなかったのです。
そして、第2に、彼には「居心地の良さ」というものを十分に味わえる豊かな「感性」があり、それだけでなく、そのような「居心地の良さ」を、まだそれを知らない他のアメリカ人にも味わわせてあげたいという「優しさ(隣人愛)」のようなものがあったということです。
この2つのことが、彼の中に併存していたことがポイントであり、もしそのうちの1つがあっただけだったら、スターバックスは生まれていなかったと思います。
問題意識とぼーっとした意識を行き来する
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