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昭和世代には懐かしい「ヘチマ」見直される"良さ" 静岡県浜松市の市民団体が復活・普及に奮闘中

東洋経済オンライン / 2024年7月20日 11時30分

団体の中には地元の幼稚園や小学校などが環境学習などで活用している事例もある。五明さんは、学校から声が掛かると、生徒たちに話をしに行く。

地元でもヘチマの存在を知る子どもは少数で、硬い乾燥したヘチマを手に取ると、「先ずはブンブン振り回す」という。そして、水に浸し柔らかく変化すると目を丸くするという。

また、ヘチマを栽培しないが、スポンジを使う「つかい隊」には、市在住のプロサーファー三浦涼さんも参加している。三浦さんはブログの中で、プロジェクトに出会うまで、ヘチマからスポンジができるとは知らなかったと述べている。

ヘチマスポンジを使うことでマイクロプラスチックの削減に役立つと知り、「(ゴミを減らす)僕たちの海での取り組みとつながると思いました」と語る。

ヘチマには「楽しいことしかない」

ヘチマ生産は現在、沖縄や九州など一部地域に限られている。鹿児島では郷土料理として「ヘチマ汁」がある。全国的に収穫量が少ないため統計数値がない「マイナーな」農作物として位置付けられている。

広辞苑によるとヘチマには、「つまらぬもののたとえ」という意味もある。また、ぶらぶらして役に立たない男性を罵る言葉として「へちま野郎」といった言葉も載っている。もっとも、こうした言葉は最近ではあまり聞かれない。

しかし、五明さんにとって、「ヘチマには楽しいことしかない」と、ヘチマの魅力を話しだすと止まらない。毎日3度の食事後の食器洗いにヘチマスポンジを使うことは極めて日常的であり、「無理なく満足感を得ながら、環境保全に働きかけられる」と話す。

団体の副代表を務め市内で菜食カフェを経営する40代の石田渚さんは、「皿や鍋を洗うスポンジにヘチマを使ってみたら、洗剤を使う量も少なくて済むし、耐久性も気にならない。ヘチマでいいんじゃない?と思った」と魅力を語る。

使い方にもよるが、ヘチマスポンジは一般的に長持ちする。排水性が高いため植木鉢の底に敷くこともでき、最後は土の中に埋められる。

他方、プラスチック製スポンジは、使えなくなったら即廃棄物になる。またマイクロプラスチックは下水道処理のフィルターを通しても、一部は河川を通じて海洋に漏れ出てしまう恐れがある。このため、海洋生物やそれを食べる人への健康の影響が懸念されている。

五明さんはまた、夏の日よけ対策が「重要度を増している」と指摘する。理由として、住宅性能が向上する中「一旦、家の中に熱がこもると抜けにくくなるため」だという。

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