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100億の貢献?糞虫の聖地「奈良公園」の奥深き裏側 驚異の自然サイクル!莫大な経済効果生む陰の掃除屋

東洋経済オンライン / 2024年7月20日 10時30分

奈良公園といえばシカと鹿せんべい。でも、そのシカの糞は誰が掃除しているのか。それは「糞虫」だ(写真:著者撮影)

多くの歴史的建造物や文化財、さらには芝生広がる若草山などの美しい自然が残る古都奈良。春日大社や奈良の大仏など歴史を感じるスポットのほか、野生のシカと触れ合える奈良公園も全国的に知られている人気観光地だ。

【画像14枚】中村さんが運営する「ならまち糞虫館」や、貴重な糞虫のコレクション。かわいいシカの様子も(※食事中の方はご注意)

なぜ、奈良公園はシカのフンまみれにならないのか?

奈良公園といえばシカである。人に慣れており、観光客が鹿せんべいを購入した途端われ先にと近寄って食らいついてくる。せんべいを与える前にお辞儀をするなど、ここならではの光景も見られる。

ふと視線を落としてみると、地面にはたくさんのフンが落ちていることに気づく。奈良公園に生息するシカの数は約1300頭といわれており、フンが落ちているのは当然だ。

しかし、シカの数に対してフンの量はさほど多くなく、ハエが大量発生している様子もあまり見ない。ならばこれらのフンは日々どのように片付けられているのか疑問が湧いた。

鹿せんべいの売店はたいていホウキを備えており、手すきの際は周辺のフンを清掃してくれているが、もちろんこれだけでフンをすべてきれいにしているわけではないだろう。一体どうなっているのか?

【画像14枚】なぜ、奈良公園はシカのフンまみれにならない? 「毎日約1トンの糞を分解」「奈良財政に100億もの貢献」をする“糞虫”の奥深き世界

この謎に答えをくれたのは、昆虫の中でも糞虫という実にユニークなテーマを扱う「ならまち糞虫館」。奈良公園からほど近い路地を散策していた際に見つけた昆虫博物館で、“フン虫王子”を自称する館長の中村圭一(なかむら・けいいち)さんが個人で運営している。

なぜ、奈良公園はシカのフンまみれにならないのか? 中村さんが疑問に答えてくれた。

奈良公園は糞虫の聖地だった

―奈良公園はなぜフンまみれにならないのでしょうか?

それは糞虫のおかげなんです。奈良公園に生息する糞虫たちが、シカのフンを分解して粉にして土に還してくれています。

―糞虫はどんな昆虫ですか?

糞虫は「フンを食べるコガネムシの仲間」のことを指します。ファーブル昆虫記の影響から、糞虫と聞くと“フンコロガシ”を連想して、フンを転がすイメージを持つかもしれませんが、実は日本にいる糞虫の99%はフンを転がさないんです。

木に登らず地面にしかいないので爪が発達していないなどの特徴がありますが、言ってしまえば、フンを食べている普通のコガネムシです。

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