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踏切25カ所撤去「京王線高架化」の進み具合は? 全工区で工事着手、高架橋もあちこちに出現

東洋経済オンライン / 2024年7月20日 9時0分

基本的な工事の順序は、まず1線分の高架を現在の線路の南側に建設して下り線を高架化。その後、もとの下り線を撤去してもう1線分の高架を建設し、上り線を切り替えるという形だ。

すでに高架橋が姿を現しているのは、代田橋―明大前間、明大前駅付近、桜上水駅付近、芦花公園駅付近、芦花公園―千歳烏山間、千歳烏山―仙川間。2024年度も下高井戸駅などで高架橋の建設が進む予定だ。

高架化で駅はどうなる?

区間内には、新宿寄りから代田橋・明大前・下高井戸・桜上水・上北沢・八幡山・芦花公園・千歳烏山の8つの駅がある。

このうち八幡山駅は1970年に高架化されており、立体交差事業ではほかの7駅を新たに高架化する。合わせて特急停車駅である明大前駅と千歳烏山駅は現在の2面2線から、列車の待ち合わせや追い抜きができる2面4線の構造に変わる。新たに高架化する7駅の外観デザインは2019年に決定した。

現状の各駅はいずれも駅前が手狭でバスロータリーなどの広場がなく、交通結節点としては課題があるのが実情だ。7駅の地元である世田谷区は、高架化を機に駅前広場などの周辺整備を進める方針で、明大前駅と千歳烏山駅についてはすでに都市計画決定されている。ほかの駅については、「今後の連続立体交差化事業の進捗に合わせて検討を進めていく」(世田谷区道路・交通計画部交通政策課)という。

高架化に向け、現在の駅も出入り口が切り替わるなど各駅で工事が進んでいる。駅舎が線路をまたぐ橋上駅舎の桜上水駅と芦花公園駅は、高架化工事にあたって支障となる駅舎を撤去する必要があるため、両駅ではこれに備えて2024年度に仮の通路を整備する予定だ。

桜上水駅で整備する仮の地下通路は、実は「橋上駅舎化以前に改札などの駅施設として利用した通路」(京王)。十数年の時を経てかつての通路が「復活」する形になる。長年の利用者には懐かしい景色になるかもしれない。

高架切り替えはいつになる?

連続立体交差の事業期間は2030年度末まで。ただ、線路の高架切り替えの時期については「事業の早期完了を目指し取り組んでいるが、現時点で高架化切り替えの時期は決まっていない」(京王)。

下り線が高架に切り替われば踏切の遮断時間はほぼ半減することになるが、この切り替え時期についても現時点で時期は未定だ。「今後、事業用地の確保を進めたうえで、下り線高架化切り替えの時期を定める」という。都建設局によると、2023年度末時点での用地取得率は90%だ。

立体交差化事業は、2013年度に着手した際の期間は2022年度末までだったものの、2022年3月に変更され、2030年度末まで延びた。「事業に必要な用地の確保が未了であったため、事業用地の取得後、付替道路工事や高架橋構築工事などの期間を考慮」(京王)したためだ。もっとも、鉄道の高架化が当初の予定よりも長引くのはめずらしいことではない。

長らく課題となってきた京王線の「開かずの踏切」。連続立体交差の事業化から約10年を経て、ついに全工区での工事が始まった。京王線は、ターミナルである新宿駅も周辺の再開発に合わせて改良工事を行い、2030年度には地下のホーム階に新たな改札ができる予定だ。都心と東京西部・多摩地区を結ぶ動脈は、大きな変化の時期に突入している。

小佐野 景寿:東洋経済 記者

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