中国の外食チェーンで「大幅値下げ」が相次ぐ事情 消費マインド低下に対応、顧客の繋ぎ止め狙う
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 19時0分
中国の大手外食チェーンの間で、メニューを更新する際に大幅値下げに踏み切るケースが目立ち始めた。
【写真】中国の消費者に人気の火鍋チェーンでも値下げが相次いでいる
麺類チェーンの「和府撈麺(ホーフー・ヌードル)」は6月下旬、新メニューへの切り替えと同時に価格を見直し、料理の単価を16~29元(約352~638円)の水準に引き下げた。以前のメニューと比較した値下げ幅は平均約30%に上る。
この値下げの理由について、和府撈麺は「集中仕入れにより得られた原価低減メリットを、消費者に還元するため」と説明している。
上場外食大手の「九毛九」は、傘下の火鍋(中国式鍋料理)チェーン「慫火鍋廠(ホットポット・ファクトリー)」の料理を5月に値下げした。同じく九毛九傘下の魚料理チェーン「太二酸菜魚」は、スマホアプリなどでクーポンを取得すればカップル向けのセットメニューを1割引するなどのキャンペーンを始めた。
ネット限定の低価格セットも
別の火鍋チェーンの「巴奴(バーヌー)」は、オンライン・プラットフォームを通じた低価格メニューの提供に注力している。
例えば、生活関連サービス大手の美団(メイトゥアン)のプラットフォームで実施したライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)では、カップル向けセットメニュー(のクーポン)を1名当たり115~150元(約2530~3299円)で販売。ショート動画アプリ抖音(ドゥイン、TikTokの中国国内版)でのライブコマースでは同じく115~145元(約2530円~3190円)で販売した。
「店舗の立地や時間帯などに応じて、価格を動的に変えている。『巴奴は値段が高い』と感じている消費者に、新たな選択肢を提供したい」。財新記者の取材に対し、巴奴の担当者は狙いをそう説明した。
大手外食チェーンの値下げが相次ぐ背景には、顧客の消費マインドの冷え込みがある。前出の九毛九の決算報告書によれば、慫火鍋廠の2023年の平均客単価は113元(約2486円)と、前年より15元(約330円)低下。太二酸菜魚は同75元(約1650円)と前年より2元(約44円)低下した。
日本にも進出している火鍋チェーン大手の「海底撈(ハイディラオ)」も、2023年の平均客単価が99.1元(約2180円)と前年より5.8元(約128円)下がった。各チェーンの値下げは、顧客を繋ぎ止めるための懸命の努力にほかならない。
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