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羽田空港で無人車両実験、人手不足の解消へ一歩 ANAとトヨタ共同開発の自動運転車両を公開

東洋経済オンライン / 2024年7月22日 8時30分

空港で使用される特殊車両「トーイングトラクター」。主にカートやコンテナを牽引するために使われる(筆者撮影)

国内で着実に進展を見せる完全自動運転技術が、今、空港の風景に変化をもたらそうとしている。

【写真で見る】人が運転する車両とは少し形が異なる。ANAと豊田自動織機が開発した自動運転対応のトーイングトラクター

全日本空輸(ANA)と豊田自動織機は、羽田空港で飛行機へ荷物を運搬する「トーイングトラクター」で自動運転レベル4の完全無人運転の実証実験を行った。

トーイングトラクターとは、空港で使用される特殊車両で、主にカートやコンテナを牽引するために使用される。通常、6つのカートを鉄道車両のように連結して運行し、効率的に大量の荷物や貨物を運搬する。

自動運転のレベル4は、「特定の条件下で人間が関与しない完全自動運転」を意味する。空港の制限エリアでの無人運転は全国初という。

自動運転トーイングトラクターの運用は7月1日から開始され、初めの2日間は監視者が乗車、その後の7月3日~19日にかけて完全無人で運行を行った。

【写真】人が運転するトーイングトラクターとの違いは? 自動運転対応のトラクターの外装や運転席など

背景に深刻な人手不足

コロナ禍が明けて以降、航空需要は急激に回復している。直近では政府が訪日外国人を2030年までに年間6000万人にする目標を掲げており、今後も発着便数の増加が見込まれる。

ここで課題となるのが飛行機の誘導や荷物の積み下ろしを行うスタッフの人手不足だ。ANAの森真希子氏は「1人の方が長時間働いていたり、なんとかやりくりしている状況」と現場の逼迫した状況を語る。

その中で、トーイングトラクターに白羽の矢が立った。この機械は地上業務の中でも導入規模が大きく、ANAは羽田空港で約240台を運用している。人手による部分が多かった分、自動運転化による集約管理が進めば、大きな省人化の効果が見込める。

2025年度の本格導入目指す

自動運転トーイングトラクターの技術開発は2019年度からスタートし、2025年度の本格導入を予定している。現在は技術が完成し、導入に向けた最終段階に入っている状況といえる。

現在の試験運用で導入されている台数は、1台のみだ。

ANAは現在、自動運転トーイングトラクターを搬送距離が長いコンテナの運搬に活用している。空港付属の貨物倉庫から駐機場付近までの約2kmを往復する。運ぶのは野菜などの航空貨物だ。乗客の手荷物はターミナルビルからの輸送で距離自体が短いため、現時点では自動運転の対象外だという。

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