トランプ再選で日本は「5つの悪夢」に襲われる 前回よりも思い通りにしやすくなる可能性も
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 14時30分
ジョー・バイデンが7月21日にアメリカ大統領選からの撤退を表明したことで、アメリカ最高司令官をめぐる選挙は劇的な展開を見せている。この混沌とした選挙の行方はまだ定かではない。しかし現時点では、ドナルド・トランプ前大統領が政権に返り咲くという見通しを深刻に受け止めなければならない。
ターゲットを「中国」に絞って攻撃
共和党大会は、孤立主義、保護主義、キリスト教ナショナリスト運動、いわゆる1930年代の新ファシズムを彷彿とさせるMAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大に)運動による同党の支配を確固たるものにした。オハイオ州選出の新米上院議員J・D・バンスを副大統領候補に選んだことで、その計画は決定的となった。バンスはこの運動のイデオロギーを深く支持している。
トランプ大統領の政権復帰は、日本にとって、そして戦後秩序の砦としてアメリカへの依存度を高めている他の同盟国にとって、どのような意味を持つのだろうか。筆者はアメリカの著名な日本専門家、マサチューセッツ工科大学(MIT)のリチャード・サミュエルズ氏と外交問題評議会(CFR)のシーラ・スミス氏に助言を求めた。
そして、トランプが再選した場合、日本にとって「最も起こりそうな5つの悪夢」のリストを作成した。決して網羅的なリストではない。これ以外にも危険が潜んでいることは間違いない。
悪夢1:貿易戦争と経済摩擦
トランプは、すべての輸入品に一律10%の関税をかけ、中国からの輸入品にはさらに50~60%の関税をかける計画を繰り返し発表している。彼は何十年もの間、保護貿易主義を主張してきた。「経済的には驚異的だ」とトランプは最近のブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで語っている。「そして、これは交渉に有利だ」。
トランプはまた、ドルと円、人民元の為替レートの格差を狙い、1985年9月のプラザ合意のような大規模なドル切り下げを行う意向を示している。ブルームバーグによれば、日本と中国は貿易黒字を助けるために意図的に通貨安を維持してきたという。「日本はそうやって作られた。中国もそうだった。私たちは非常にまずい立場にいると思う」とトランプは宣言した。
トランプのメインターゲットは中国だ。だが、それは日本にも組織的な影響を及ぼし、対中国の貿易戦争に参加するか、あるいは、中国の広大な市場との関係を維持するかの選択を迫られることになる。
貿易制裁を「手段」として使っていく
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