エンジニア人気低迷の元凶「多重下請け構造」問題 安月給で早朝から深夜まで働き、家に帰れない
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 18時0分
日本のIT業界を蝕む「多重下請け構造」。その最下層で働くエンジニアの劣悪な労働環境が、若者のエンジニア離れを加速させている。一方で、中小企業の技術力低下や人材派遣化が進行。この閉塞状況を打破する鍵として、スタートアップへの期待が高まっている。
海外人材の活用も含め、日本のIT業界が抱える構造的問題と、その打開策を探る。(『エンジニアリソース革命』より抜粋してお届けします)。
建設現場と一緒「多重下請け構造」問題
日本ではエンジニアの職場がブラックなイメージで見られることが多いのですが、それは日本のIT業界の文化に起因しています。
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実は、日本のIT業界の構造は建設現場と非常に似ています。
まず元請けの有名な大手企業があり、そこから一次請け、二次請け、三次請けという形となっています。要は、このような多重下請け構造が基本となっているのです。
その最下層にいるエンジニアの働き口は、ブラックな職場環境になっているところも少なくありません。安い月給で朝早くから夜遅くまで働き、家に帰れないというエンジニアに会ったこともあります。
このような状況が悪評となって若い人に伝わり、エンジニアやSEに対する人気が落ちているのかもしれません。
元請けからすれば、二次請け、三次請けという形で業務を回せば、結果的に安く上がる、という考え方が根底にあるのかもしれません。しかし、それが回りまわって結果、IT人材が不足する要因となり、自分たちの首を絞めているのです。
また、日本の中小企業や零細企業では、技術力の低下が起こっています。それは受託の割合が減少していることに如実に表れています。
ここでいう「受託」とは、開発品の品質に責任を負う開発形態ですが、最近のIT関連の中小企業は、社内で完成品を請け負うことが減りました。
逆に、SES(システムエンジニアリングサービス)として、自社のエンジニアを大手クライアントに派遣し、月額で報酬を得る形が増えています。
受託開発では、自主的に開発管理し、品質責任を負う必要があります。その一方でSESでは、発注した会社からの指示があり、いわば派遣社員のような形態で働くことになりますが、企業が開発責任を負わなくて済むSESのほうがリスクが少ないと考えられているのです。
たしかに開発責任がないというのは利点ではありますが、このような体制のもとでは、エンジニアがプロジェクトの進め方やプロダクト開発のノウハウ、知識を深める必要はありません。
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